[朝食]

 朝、目覚まし時計の音で目を覚ます。目覚ましを止めてゆっくりと体を起こし、ベッドの横にあるカーテンを開ける。朝日はすでに昇っており、その光を浴びると徐々に目が覚めてくる。


 目が覚めたらキッチンへ行き、白湯を1杯飲む。寝起きに渇いた喉が潤い、体も次第に温まって完全に目が覚める。そうしたら自室に戻り、今日着る服を選ぶ。


 会社では専用の制服があるので、会社に行く時と帰る時用の洋服だ。昨日のうちにどの洋服を着るか大体決めていたので、今日はそれほど悩まずに選び終え、着替える。


 着替え終えると、お腹が空いていることに気がつく。今日は何を食べようか?


 考えながらキッチンへ向かう。時間に余裕があるのでどうしようか悩む。普段は簡単にパンを食べることが多いが、たまにご飯が食べたいと思うこともある。


 ご飯を食べたい日にはきちんと前日に準備をしておくが、残念ながら昨日はその準備をしていなかった。特に今日ご飯を朝食べようとは考えていなかったからだ。


「いつものパンをちょっとだけ豪華にしようかな?」


 普段の焼いてバターやジャムを乗せるだけの簡単なパンも悪くないが、今日は時間に余裕があるので久しぶりにフレンチトーストを作ることにした。


 作るものが決まったので、材料を用意する。食パン、バター、牛乳、卵、砂糖を次々に揃える。甘いものが食べたい気分なので、砂糖をいつもより多めにして甘くしよう。


 ボウルで牛乳、卵、砂糖を混ぜる。もちろん、砂糖は多めに入れてある。主役のパンを好みの大きさに切り、ボウルの液に浸す。白い食パンが黄色に変わっていく。


 ここからが重要なところだ。フライパンでバターを溶かし、浸していたパンを弱火でゆっくりと焼き上げていく。焼き上がっていくと甘くて良い香りが漂ってくるのが好きだ。


 片面だけではなく、反対側も焼いていく。側面も焼くのが好きだが、時間がない時はやらない。幸い今日は余裕があるので、側面もしっかりと焼く。


 だんだんと甘く香ばしい、美味しそうな匂いが部屋に漂う。


「うん、良い感じかな?」


 美味しくできたと思う。早く食べたいが、今日はちょっとだけ豪華にすると決めている。フライパンからフレンチトーストを皿に移し、冷蔵庫からホイップクリームとジャム、バニラアイスを取り出す。


「まずはホイップクリームを乗せて……」


 にゅ〜っとクリームを絞る。甘いものと甘いものの組み合わせである。カロリー? 糖分? 何のことだか。


「今日は苺のジャム!」


 私はさまざまな種類のフルーツジャムを常備している。パンを食べることが多いからだ。


 スプーンを使ってジャムをホイップクリームの上に乗せていく。今日使う苺のジャムは少し酸味のあるもので、ただの甘いフレンチトーストよりもさらに美味しくなるはずだ。ジャムの赤い色も食欲を刺激する。


「最後にバニラアイスを添えて……」


 バニラアイスをフレンチトーストに立てかけるように乗せ、同じジャムをかける。こちらはジャムを少なめにして、バニラアイスの味をきちんと楽しめるようにした。


「完成!」


 私のちょっと豪華な朝食ができあがった。お腹はパンを焼いている時からぺこぺこだ。さっそく食べよう!


 席にフレンチトーストを置き、飲み物を用意する。私は手早くカップにコーヒーを淹れる。実はフレンチトーストを作る前にコーヒーの準備をしておいたのだ。


「いただきます」


 まずは一口。何も乗っていない部分をナイフとフォークで切り分けて食べる。ジュワッと普段より甘めな味が口の中に広がる。


「うん、良い感じにできたな」


 美味しい。何も付けていないのにこれだけ美味しいなら、期待も高まる。


「次はホイップクリームとジャムを乗せて」


 また一口分切り分けて食べる。今度はさらに甘い味がし、その後に甘酸っぱい苺のジャムの酸味が加わり、何とも言えない美味しさだ。


 美味しいものを食べていると幸せな気持ちになる。どんどん食べ進めていくと、口の中がさすがに甘ったるくなってしまう。それをコーヒーでリセットする繰り返しだ。


 何度でも甘くて美味しいを味わえる、なんて幸せな時間なんだろう!


 バニラアイスももちろん食べた。冷たいアイスと温かいフレンチトーストの組み合わせは美味しかった。ここでも酸味のある苺のジャムがいい仕事をしてくれている。


「ごちそうさまでした!」


 一口一口味わいながら完食する。甘さの残る口内は、コーヒーで消す。すると甘くて苦い、なんとも美味しい口の中になってしまった。


「また食べたくなっちゃうな。でも、もうお腹いっぱい!」


 仕方ない。歯磨きをして口内をすっきりさせないとかな?


「……う〜ん」


 今日はまだこの幸せな味を感じたままでいたいかな? すぐに洗い流すのは勿体無い。


「時間に余裕があるっていいなぁ」


 時間がないとここまで手をかけられない。自分にとって豪華な朝食になる日はあまりない。


 だからほんの少し、ホイップクリームやアイスにジャムだけだが、私にとってこれが豪華なトッピングである。ヨーグルトをかけたり、甘さ控えめなものを作って野菜と食べたり、フレンチトーストにはいろいろな食べ方があって楽しい。


「次のちょっとだけ豪華な朝食はいつかな〜」


 朝食を食べ終わったばかりなのに、次の自分にとって豪華な朝食のことを考えてしまう。普段の朝食には不満はないが、やっぱり少しでも手を加えるとさらに美味しくなるのだ。





「みんなは朝食、何を食べる?」

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