第6話 続き




5品目をアル様の前に置く。


「ロールキャベツです。お肉をキャベツで巻いた物にトマトのソースで煮込みました。どうぞ、」


「、パクッ モグッ モギュ モギュ モグッ パクッ モギュ モグッ モギュ モギュ、、、、(これは、シンプルに美味しいとしか言えない。トマトの甘みが最初に口に広がって次に、キャベツの甘み、その次にお肉の甘みが広がる。トマトは甘さの中に少しの酸味が良い感じにソースになってて、少しワイン、、、赤ワインの風味が感じれてとっても美味しい)」

「と、、、、っても、美味しいよ、笑」


「、、、、、、、、良かったです笑」


「キャベツのとろっとした食感にトマトの濃厚な甘みが抜群に合う、それにお肉の甘みが2つと混ざり合ってキャベツとトマトが主役になった感じがする。トマトソース自体が濃厚で良い意味でくどくないから、食べやすくてとっても美味しかった」

「(ユリーリャはすぐに俺のことを王子と呼ばず、アルに様を付けてくれた。それに、敬語ではあるけどフランクにだけどしっかりと敬意を持った喋り方をしてくれた。他の従者はそれなりに期間が必要だったけど、ユリーリャは俺を王子とかそーゆうのじゃなくて、人として見てくれているのかもしれない)」


そう美味しそうにロールキャベツを食べながら言うアル様に少し嬉しくなりながらも、僕は最後の品の準備をする。今時点ではすでに足取りは軽やかだ。次のアル様の表情が楽しみまである。


「じゃ、次は最後の品です。スイーツです」


「スイーツ、これにも、?」


「勿論、野菜を使ってますよ」


僕はそう言ってアル様の前にデザートを置く。


「かぼちゃのプリンです。下の部分にカラメルがあり、アイスを付けて食べて下さい、どうぞ、」


かぼちゃプリンの作り方は非常に簡単で、





まず最初にオーブンレンジを160℃に予熱し、その間に小鍋に砂糖、水を加えて中火で熱し茶色くなるまで煮詰める。火を止め、お湯を加えて混ぜる。火からおろして粗熱を取り、耐熱の深めの小皿に均等に流し入れる。


次に、かぼちゃの皮を切り落とし、1口大に切る。耐熱ボウルに入れて大きめの鍋に水を入れて中火で沸騰させその中にボウルを入れて、熱する。5分経ったら、一旦取り出して熱いうちにフォークなどで潰す。まだ固ければまた5分温める。荒く潰し、粗熱を取る。

粗熱取ったら裏漉しして滑らかにする。別のボウルに卵を割り入れて混ぜ、砂糖を加えてすり混ぜる。小鍋に牛乳、生クリームを入れて弱火で熱し、小さい泡が立ってきたら火から下ろす。ボウルに少しずつ加えてその都度混ぜる。裏漉ししたかぼちゃをボウルに少しずつ加えて、泡立て器でのばす。こし器に通して滑らかにする。

カラメルの入った小皿にプリン生地を均等に流し入れる。


天板にバットを置いて小皿を並べ、バットの高さ半分程度のお湯を注ぐ。160℃に予熱したオーブンレンジで、20〜25分蒸し焼きにする。


蒸し焼きにしたら粗熱をとり、冷蔵庫で2時間程冷やす。ミントと事前に作っておいたバニラアイスをトッピングする。

これで完成。






結構時間はかかるけど簡単に出来ます。



「パクッ チュルッ モキュ モキュ モキュ パクッ ヒヤッ! チュルッ モキュ モキュ 、、、、 (かぼちゃの甘みがきて砂糖を使ってないから自然な甘みを感じて、牛乳と生クリームの濃厚さが口に広がり、次にバニラアイスがかぼちゃの風味と良く合う。本当に全部、美味しい。久しぶりだな、こんなにも野菜を美味しいって思えるの、、、、ユリーリャのおかげだな笑)」

「、、、、甘くて美味しい、」


「、、、、!これで、6品全部、って言わせれましたよね?」


アル様の発言を聞いて僕はすぐにシャルヤさん達の方を見て問う。


「あぁ、ユリーリャ、良くやった」


「ユリ坊、上出来だ!」


そう言って僕の頭を撫でるガゼルさんと手を僕の肩に置くシャルヤさん。僕は嬉しくなって微笑む。


「アル〜、今度は父さんと母さんの前でも野菜食べような〜、ねっ、兄さん!」


「あぁ、多分、母さん泣くと思うぞ」


「ぁ〜、泣きそう、『あの、アル君が野菜食べてる〜(泣)』とか、言いそう笑」


「それは、マジでやめてくれ、母さんに伝えたらめんどくさいことになる」

「(今思えば、多分嬉しかったのかもしれない。野菜嫌いと極端偏食は俺自身治した方が良いと思っていた。だけど、その勇気が出せなかった。だが、あの日ユリーリャの言葉で食べようって勇気を作ってくれた。それに、ユリーリャのそばに居ると何処か素直になれる。この子なら、素直な自分を出せる、って思えるんだ)」

「(それに、ユリーリャと何故か居ると心臓がドキドキしてしまうし、何でだ?)」


楽しそうにアル様をイジっているミド様とジア様と照れながら困り顔をしているアル様を僕は少し、面白いな、何て思いながら見ている。


「あの、アル様が狼狽えてて、何か可愛い」


「分かるわ、ファリミド様達って、殿下をイジるの好きだから」


「そうそう、昔からミド様達って、恥ずかしそうに照れたり、困ったりするアル様の顔が好きだから」


「あぁ、僕らがシャルヤさんをイジるのと同じ理由だ」


「だね、シャルヤさんのあの困った顔が僕とハルーラ好きだもんね」


「おっと、2人が私をイジる理由が良い意味で衝撃なんだが?」


衝撃の事実を知って驚いてるシャルヤさんと楽しそうな顔をするハルーラさんとララネさん。


「姉さん、プリンが美味しそうなのは分かったから、涎出さないで」


「ミーシャ!だって、あんな美味しそうなプリン初めて見たんだもん!あたし食べたいよ!」


「今度、ユリーリャに作り方教えて貰うから、ほんと落ち着いて、いや落ち着け」


「ミーシャさんほんと、マーシャさんの世話大変だなぁ〜」


何て思いながら、ふとアル様を見れば既にプリンを食べ終わっていて、赤ワインを飲んでいた。僕はすぐにアル様の側へと向かい話しかける。


「アル様、どうしますか、お部屋にお戻りに?」


「あぁ、そうしようかな、、、、ユリーリャ、着いてきてくれるか?」

「(こんな気持ちが湧いてくるのは何でか、知りたい。2人きりで良いから、2人になれる場所で話したい)」


「!、、、、はい、分かりました」


アル様の言葉に驚いたが、僕はすぐに承諾してアル様の後を着いて行く。


「俺とユリーリャはもう行く」


「お先に失礼します!」


「あとは、俺とユフィーネとシャルヤに任せろ」


そう言って僕とアル様はアル様の自室に戻る。


ガチャ


「えっと、お風呂はすでに沸かしておりますが、入りますか?」


「あぁ、そうさせて貰う、、、、(そうだ。ここで風呂にでも誘えば、良いんじゃないか?ユリーリャから匂うあの甘い香りの正体やユリーリャと居ると湧き出てくるこの感情の正体も知りたいしな)」

「それと、、、、ユリーリャも一緒にな」


「、、、、、、、、はい?」


アル様のタオルと着替え一式を揃えようと箪笥やクローゼットから取り出そうとしていると、アル様からの衝撃の発言で僕は固まってしまった。


「ぃ、一緒に入るんですか?」


「あぁ、嫌か? キュルン 」


「ウグッ 」


子犬のような顔で僕の顔を見つめるアル様に負けてしまい僕は承諾する。僕が子犬や子猫に弱いから断れない。


「分かりましたよ。一緒に入りましょう、すぐに戻ってくるんで、待ってて下さい」


「あぁ、分かったよ」

「《良かった》」


僕は急いで部屋から出て自室に戻り下着とパジャマ、タオルを持ってアル様の部屋へと戻る。戻ったらすぐにアル様と一緒にお風呂場に向かい、裸になる。と言っても下半身には布1枚付けてはいるが、


「ヌギヌギ 、、、、//(ユリーリャの裸、初めて見たけど細い!まだ成長しきってない骨格や細い腕や脚、腰は俺が掴んだら壊れそうだ。肩なんて小さくて俺が力加減間違えたらどうしよう。それに風呂に入るから髪をお団子にした事でもっと甘い香りが強くなる)」


「ヌギヌギ 、、、、フワッ (アル様のスタイル良!筋肉も良く着いてて細マッチョって感じ!それに着痩せするタイプだとみる)」


裸になり僕らは扉を右に開ける。


カッポーン


「えっとお背中流しますよ」


「!お願いする」


僕はそう言ってアル様の背中を流す。アル様の背中は僕とは比べ物にならないぐらい広くそして逞しく程よく筋肉がちゃんとしてるって感じとれる。ほとんど流し終わるとアル様から声をかけられた。


「、、、、ユリーリャの背中も洗おうか?」


「ぇ?よろしいんですか?」


「俺にだって出来るからな」


「!ではお願いします、!」


僕は少し嬉しくなってすぐに桶に座ってアル様に背中を流して貰った。


「、、、、、、、、(綺麗な肌だ。保護してた時に治療をして目立った傷はないが、少しの擦り傷や切り傷なんてあったからなぁ。ちゃんと回復して良かった。、、、、ぁ、ここ、この怪我少し跡はあるけど治ってたのか、、、、良かった笑)」


少し経ってからアル様が僕の背中をスルリとなぞる様に触れて、最後に僕の少し浮き出た傷を触れられて、僕は少しゾワッってした後、すぐに僕に話しかけた。


「、、、、ユリーリャ、背中のここ、傷があるだろ?」


「ぁ、はい。メイドになってから、気付いたらあって」


「この傷、ユリーリャを助けた時に治療をしていた時にある事が気付いてな、多分だが助ける前に付いた傷だろう」


「そうなんですか。なら、これはアル様との出会いの傷ですね笑 」


「ドキッ /////// あぁ、そうだな。よし、背中流し終わったぞ」

「(あれ?ユリーリャの香りもないのにドキッとしなかった。何でだ、ただユリーリャの笑顔を見ただけで、、、でも、あの笑顔を俺にずっと、俺の横で笑って居続けて欲しいな、、、、何て、、、、、、、、!?!?今俺なんて思ってた!?ヤバいだろ、これは!)」


そう言って僕の肩に手を置いたアル様の手は少し熱かったが、気のせいだろうか。次に各自、髪を洗って洗い終わったら湯船に浸かって温まる。


チャプンッ


「あの、アル様、質問を1つ良いですか?」


「ん?何だ。何でも良いぞ?」


「じゃぁ、アル様って、小さい頃ってお風呂好きなタイプでしたか?」


「ん〜、そうだな。結構好きだったと思うぞ。兄さん達と稽古をした後や勉強した後、遊んだ後にお風呂に一緒に入ってて楽しかったしな」


「へぇ〜意外、僕もお風呂は好きでしたよ。暖かくなれるし、それに家族のみんなと入る時はとっても好きでした」


「そうか、、、、次は俺が質問良いか?」


「良いですよ?どうぞ」


僕はアル様の目を見て、アル様に言われる質問に少しワクワクしながら聞いていると、少し驚く質問をされた。


「何で、俺の野菜嫌いと極端偏食を治そうと思ってくれたんだ?」


「へ?、、、、ぁ〜、、、、、それはですね〜」


僕は少し口籠ってしまった。僕が何故アル様の野菜嫌いと極端偏食を治そうと思ったか、、、、それは、僕自身も超が付くほどの好き嫌いと極端偏食を持っているからだ。僕の場合、トマト、山芋里芋、トロロ、豆類全部、とうもろこし、梅干し、チーズ、オクラなどなど、僕は食べれない食べ物が多い。でも、それを美味しく食べれる様しようって努力をして料理も頑張って今では嫌いな食べ物を使った料理だって普通に食べれる。

だからだ、アル様は昔の僕を見ていると感じてしまった。それと同時に、アル様にも食の素晴らしさと野菜のおいしさを伝えたかった。だから、僕はアル様の野菜嫌いと極端偏食を治そうと思ったんだ。

だが、今更こんな事伝えるのも恥ずかしいので、少し言葉を変える様に伝えよう。


「、、、、僕が好きだって、美味しいんだって思えた事をアル様、僕のご主人にも知って貰いたい、食べて貰いたいな、って思ったから、、ですかね?笑」


「、、、、、、、、ブワッ ///////////、、、、そうか」


僕がそう伝えるとアル様はすぐにそっぽ向いて、そっけなく話す。僕は少し驚いたが、可愛いな〜何て思ってしまった。


「(ヤバい、これはヤバい。ユリーリャの笑顔を守りたいって思うし、ユリーリャの笑顔を見るだけで体全体が瞬時に熱するし、激しい動悸がきて、無闇にユリーリャの顔を見ることさえ出来ない、、でもユリーリャの笑顔がかわいすぎてる、、これって、まさか、、、、いや、これは確信だろう、、、、昔兄さんが教えてくれた、、、、




『アル〜、どうした?』


『ミド兄様、ジア兄様、恋って何?』


『『恋??』』


『うん、姉様が婚約者さんとは恋がやっと実った両思いって言ってたから』


『姉さん、そう言えばこの前浮かれてそんな事言ってたな〜笑』


『恋って言うのはな、その人の事しか考えられないって思えたり、その人のそばに居たいと思えたり、他の人に取られたくないって思えたりするのを恋って言うんだ』


『へぇ〜!そうなんだぁ!』


『兄さん、あと1つあるでしょ、』


『?、、!あぁ、あれか』


『あと、1つ?』


『『そう、それは』』





「、、、、!《やっぱり》(あぁ、そうか。僕はしてたんだな。ユリーリャ、)」


アル様の体が熱いなぁってのとのぼせそうだな何て思っていると感じたり、僕は湯船から出ようとすると、アル様から右手で手を掴ませた。


バシャッ


「!?、、ぁ、アル様?ど、どうなされましたか?」


「その、今から言うのは今まであまり言わなかった事だから、上手く伝えれるか不安だが、聞いてくれ」

「(ちゃんと言葉に出来るか、分からない。だけど、この気持ちは嘘じゃないって、分かる。だがら伝えたい、あの日兄さん達が言った、

『『その人の笑顔を守りたいって思えるのが、、、、)」


「はい?」


「スゥ 、、好きだ!大好きだ!フワッ 」


『『』』



















「、、、、主人としての感謝ですよね?ありがとうございます」


「へ?」


「僕上がるのでアル様もしっかり体拭いてから服着る様に、では」


「ぁ、はい(!?つ、伝わってない?ぇ、これって感謝なのか!?大好きって他の従者に言った事ないけど!?マジで今どきの12歳分かんない!)」


一瞬動揺したが、すぐに返事をして、僕は湯船から上がりお風呂場を出て体を拭いて、下着とパジャマに着替えて素早く自室に戻った。

自室に戻り、フラフラとベットに倒れ込む。


「ブワッ ////////// ほへぇ?何、ぇ、大好きって何〜、てか、アル様から香る匂いで少し酔いそう!ぇ?これって告白、、、、」


一瞬の沈黙の後、


「、、、、、、、、いやいやいや!ないないない!!」」



僕はすぐに答えを出して、疲れて居たのかすぐに眠ってしまった。

まさか、ここからが僕とアル様の関係が大きく変わってしまうとは誰も思いはしない。




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