第5話 お試し食事



「よし、とりあえず、王都市場に行きますか!」


「私とララネも手伝いますよ」


「うん、僕らも結構知ってるし」


「ミーシャさん、ララネさん、!お願いします」


2日目、僕は王都の市場に行く事にした。すると、ミーシャさんとララネさんの2人も手伝ってくれる事に、2人と共に市場へと向かった。


「わぁ〜!凄っ!色々ある!」


「市場はお肉や果物、海鮮や野菜とか色々あるの」


「ユリーリャは何の野菜使うの?」


「どんな野菜があるかってのを確認してから、決めます!」


そう言って僕は八百屋さん、野菜屋さんに行き目を向ける。


「(人参やブロッコリー、じゃがいもに玉ねぎ、ほうれん草、白菜、キャベツ、レタス、トマト、ニンニク、生姜、きゅうり、もやし、きのこ類、ピーマン、大根、ごぼう、茄子、かぼちゃ)」


目に入るだけでも色々あった。ない物もあるが、それは後々考えれば良い。そう思いながら、頭の中で料理の構図を考える。


「お2人は好きな野菜とかあります?」


「?、、私はトマトですかね、赤色が好きだから、あと酸味もあるけど甘いのもあって好きです」


「僕は、、、、もやしかな、安い値段で買えるから、それに普通に美味しいし」


「そうですか、、、、よしっ、あの、!ボタン宮の厨房って此処にある野菜ってありますか?」


「あるよ。一通りの食材は切らさない様に、1週間分は置いてあると思う」


「良かった。ぁ、厨房使うんだよな」


「それなら、大丈夫、ジーバスさんに頼んで、今日と明日は第2厨房を使わせて貰うから」


「2つ厨房あるんですね、でも助かります」


そう話しながら、僕が嫌いなトマトを見ていると、それを見ていた店主に声をかけられた。


「ぁ?嬢ちゃん、何だい、そのトマトが気になんのかい?」


「へ?ぁ、はい、」


「、、、、良かったら、1つ食べるかい?お金は要らん」


「ぇ?で、でもっ!」


「良いから、良いから!」


「良いじゃない、食べたら?」


「タダで食べれるなんて、ラッキーだよ」


そう強引だが優しい口調で僕の手元に大きく赤いトマトが置かれ、3人の圧に負けて、僕はトマトをひと齧りする。


「パクッ モグモグッ 、、、、! ゴクッ」


一口食べて噛むと、口いっぱいに甘く濃厚でトマト特有の食感があるが、それが気にならないぐらい美味しい。トマトが大っ嫌いな僕でも食べれて少し驚いた。


「美味しい、、、、あの!このトマト、20個下さい!」


「まいど!ありがとうね」


「そんなに美味しかったの?」


「ぁ、はい、甘いし、それに僕が作りたい料理に合うと思って」


「ユリーリャが作る料理楽しみだよ」


「ありがとうございます」


「はいよ!お待ち!トマト20個」


20個入ったトマトの箱を持って来た店主。僕はお財布からお金の出して渡す。そして、僕らは再び色々お店を周り気に入った食材を買い、ボタン宮へと戻る。





次の日、色々な用意をしたのは固有魔法のネットショッピングだ。あとはガゼルさんとユフィーネさんの2人には食べるのが好きな子連れて来たと頼んだ。

そして今、ミーシャさんとマーシャさんは仕事、シャルヤさん、ユフィーネさん、ララネさん、ハルーラさんを呼び、ガゼルさんは食通らしいので第2厨房に僕ら6人と他6人が居る。



「では、今から僕の料理試作会&試食会を始めます!と、言いたいところですが」


「「「「「「ですが????」」」」」」


その場に居る人達が声を揃えるが、僕がため息を出しながら、右端に目線を向けると、2人の人物を見つける。


「何で、ミド様とジア様、居るんですか!?」


「暇だったし、ユリーリャの料理を食べてみたいしな」


「俺も〜、兄さんだけ行くってのも嫌だし、それに、アルの好みとか良く知ってるし!」


「「それに、頼まれた調理器具持って来たが?/のに?」」


そう2人の圧に押し切られて、僕は深いため息を出しながら納得して、許可を出す。そして次に僕が目を向けたのは男性2人と女性2人だ。


「それで、ガゼルさんとユフィーネさん、その4人は?」


「あ?あぁ、この2人は坊ちゃんの近衛騎士団の団員、こっちの」


ガゼルさんが手で肩を置いた犬耳と尻尾を持って可愛い系な青年が、ギシッと体を強張らせて、


「ルウガ・マーファです!17歳で、ゴールデンレトリバーの獣人です!」


「で、こっちが」


次に手で肩を置いたエルフ耳の美形の青年が、ペコッと一礼してから、


「シェラーラ・リンジーです。16歳で、ハーフエルフです。実家が、レストランを経営してます」


「で、この子達が私の可愛い可愛い姪達よ!」


そう言って2人の女の子を抱き寄せるユフィーネさん。


「えっと、ナナセ・レイゼン、16歳です。現在は第4王子、第5王子のメイドしてます。狐の獣人、ハーフですが」


「はいはい!リッカ・レイザン、14歳です!ナナセ姉と同じ、第4、第5王子のメイドです!狐の獣人、ハーフです!」


「この子達結構色んな国の料理食べて来たから、食通よ」


「まぁ、2人の紹介なら」


僕は納得して、キッチンに並べられている食材を見る。食材の隣に置いてある段ボールは僕が事前に用意していた材料が入っている。

すると、後ろからジア様に声をかけられた。


「ねぇ、昨日言ってた、ワショクとヨウショクって何?」


「僕が昔居た国での料理のまとめた呼び方ですね」


「料理をまとめた?」


「和食は、その国を象徴する料理、伝統料理を一律そう呼びます。洋食は違う国の料理をベースでその国で独自に発展した料理を指します」


「へぇ〜、私も色んな国行った事あるけど、そんな言葉聞いた事はなかったわ」


「ハハッ 知ってる人はあんまり居ないと思いますよ」

「では、まずは一品目を作ります!」


「「「「「「はーい/あぁ」」」」」」


僕はそう言って、きゅうりともやし、ごま油、砂糖を取って、段ボールからツナ、醤油、お酢を取る。


「まずはきゅうりを千切りにします!」


「僕が手伝いますよ」


「ハルーラさん、お願いします!」


ハルーラさんが手を挙げて、手伝ってくれた。僕らはきゅうり2本を千切りに、小型ボールに入れて、もやしも入れる。きゅうりの中に塩をひとつまみ入れ、良くベラで揉み5分置く。もやしの入ったボールは沸騰した鍋に入れて3分加熱、加熱したら良く揉む。

僕がきゅうりの水分を違うボールに移し、ハルーラさんがもやしの水分を違うボールに移す。


「水分を取り終わったら、ボールに醤油大さじ1.5、砂糖大さじ1、お酢大さじ1、ごま油大さじ1を入れて混ぜます」

「その中に、もやしときゅうりを入れて、ツナも入れます」


喋りながらボールにもやしときゅうりを入れ、ツナを入れ様と手に持っていると、


「ツナって何だ?」


「えぇとカツオやマグロから作れる万能な美味しい物です!」


「安直だな笑」


そう言いながらツナを入れて、混ぜる。お好みでゴマを入れれて、再び混ぜる。


「醤油?お酢、気になるな」


「これ、今度作り方教えます。時間がある時じゃないと無理なんで」


全体的に混ざったら小鉢に移せば完成だ。中華サラダで良いよね?、てか、和食でも洋食でもないけど。完成して誰に最初に食べさせ様か考えていると、「食べたい」と顔に超出ている王子2人を無視して、シャルヤさんにお願いする。


「シャルヤさん、最初にどうぞ」


「わーい」


箸で中華サラダを取ってシャルヤさんに食べさせ様とすると、真横から大きな声が、


「「何で/だ!?」」


「いや、2人王子でしょ?嫌だよ、もし最初に食べさせて、まずいって言われたりするの」


「まぁ、毒味って考えましょ?」


「「ムゥ〜」」


「ぁ、こーゆう所、アル様そっくり、はい、あ〜ん」


「それ、超分かる。ぁ〜ん」


シャルヤさんに食べさせると、王子2人は「良いなぁ〜」って顔をする。他のみんなもフォークを持ちながら、僕らを見る。子供かっ!何て思いながら、シャルヤさんを見る。


「モキュモキュ ゴクッン 、、、、美味い!何これ、超美味い!」


「はい、皆さん、シャルヤさんのお墨付きを貰いました。どうぞ、お食べ!」


「「「「「よっしゃ〜!!」」」」」


僕の合図でみんな、一斉に小鉢に入ったサラダをパクパクと食べていく。


「、、、、ユリーリャ、後でレシピ教えて」


「間近で見てましたよね?ユフィーネさん、その後ろでナナセさん達も見ないでください」


「!!美味しい、ハルーラさん、これ美味しい」


「そうだね、きゅうりともやしの食感とツナ?が良く合うね。ごま油とお酢も合って美味しい」


「スンスンッ 匂いも良いし、アル様もこれなら食べれるかも!俺も好きだし!」


「ルウガはどれでも美味いって言うでしょ、でもうん、ごまの使い方が良い。僕は好きだ」


「良かった〜、ガゼルさんはどうですか?」


「ユリ坊、うめぇーな、鬼人族は好きそうな味だ。酒が進みそう」


「ありがとうございます。ガゼルさんって少し鬼っぽい雰囲気感じますけどね」


「、、、、あれ、言ってなかったか?俺、鬼人族だって、」


そう明るく言うガゼルさんにその場は少し固まった。シャルヤさん、ユフィーネさん以外はびっくりした顔をしてガゼルさんを見る。もちろん僕もだ。

その場の空気を1番最初に壊したのは、


「えっ!ガゼルさん、鬼人族だったんですか!!?」


「確かに、鬼人族ぐらいお酒飲んでる時あっけど、、、、あれ?」


「シェラーラ、ガゼルさんにツノないよな?」


「だよな?」


騎士2人だ。2人はガゼルさんの頭部を見て、僕もサラダを口にしながら見る。


「?あ、これな、魔法で消してんだよ。認識阻害魔法ってやつで、ツノが見えん様にな」


その発言で僕はむせてしまった。


「ブフッ ケホケホッ」


「ユリーリャ、大丈夫?どうしたの?」


「いえ、ちょとむせちゃって」


「あら、そう、なら良いけど」


僕はすぐに誤魔化して、僕は空気を変える為に、じゃがいもと人参、玉ねぎを取り出す。


「次は僕が好きな2つの料理を教えます!」


「へぇ、その料理にはその3つの材料使うの?」


「いえ、1つ目の料理にはしめじとブロッコリー入れるけど、2つ目の料理には入ってませんね。後、今回はお肉と海鮮も使いますので」


「えぇ、それ、アル、それしか食べないかもよ?」


「ハハッ 無理させてでも食べさせますよ」


「わぁ、あの顔シャルヤさんに似てる〜」


「本当だ、たまにアル様に向けてる顔だ〜」


「?ハルーラ、ララネ?どー言う事?」


「「気のせい、気のせい」」


何て聞きながら、市場で買ったトマトを取って、冷蔵庫から牛乳、バター、蜂蜜、白ワイン、鶏肉を取り出し、段ボールから薄力粉とカレー粉、ヨーグルト、赤ワイン、コンソメ、生クリームを取り出す。

その様子を見ていたナナセさんが驚いた表情をしながら、僕に声をかけてきた。


「、、、、!あの、もしかして作るのってカレーですか?」


「ぇ?知ってるんですか?カレーを」


「昔、グリーンカレーって言うカレーをリッカと食べた事があって」


「あ!あったね!あのカレー辛かったけど、ココナッツミルク入れたらまろやかになって美味しくなった!」


「そうだね」


「へぇ、(この世界にもカレーがあったのか。でも良かった、今から作るのと違うカレーで)」


何て、思いながら近くに居たハルーラさんに手伝って貰う様に声をかける。


「ハルーラさん、人参とじゃがいもを1口大に切ってください。僕は鶏肉に下味付けるんで!」


「分かった、任せて」


そう言ってハルーラさんは包丁を手に人参とじゃがいもを切っていき、僕は鶏肉を1口大に切ってあるので、ボールに移してそれにヨーグルト、カレー粉、塩を入れて、ベラで揉み込み、布をかけて、冷蔵庫に入れて1時間漬け込む。


その間に玉ねぎ、2つを薄切りにし、しめじも小房に分け、ブロッコリーも1口大に分けてシチューとカレーの準備は終わる。

次に厚手の鍋を取り出して、牛乳を作って貰ったレンシレンジに入れて少し温めておく。


「その、レンシレンジって言うのは何なんですか?」


「ん〜、鍋やフライパンを使わずに素早く温めれる魔法具の機械って言えば、良いんですかね。使い勝手が良いかと思って作って貰いました」

「ぁ、ハルーラさん、トマトも1口大に切っといてください」


「分かった、任せて」


温めている間に、鍋にバター30gを入れて弱火で溶かしたところに、薄力粉大さじ4加えて炒める。焦がさない様に弱火で炒め、薄力粉の粘りがなくなったら一旦火から離して、温め終わった牛乳を取り出し、50mlを加え、手早く混ぜて完全に混ざりきります。

再び火にかけて、牛乳150mlを加えてダマが出来ない様にしっかりと混ぜ、滑らかになったら残りの牛乳100mlとナツメグ、ローリエを加えて、かき混ぜて少しとろみがつくまで加熱し、そのまま火から外しておきます。


「ユリーリャ、人参とじゃがいも、トマト切り終わったよ」


「はい、じゃ、少し休憩しましょ」


「うん」


僕がそう言って、みんな椅子に付き約20分休憩する。まだまだ、沢山の和食洋食を作るからこれは後々取れないであろう休憩をここで少しでも取っておきます。何て、思いながら手をモミモミする。





















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