第4話 続き





朝早く僕はシャルヤさんに頼んで、王宮内の部屋の配置図が書かれた紙を貰い、皆さんに挨拶してから、出発しようと従者室に入って皆さんに声をかけた。


「よし、では僕今から、ちょと色々調査して来ます」


「うん、分かったけど、気を付けなよ」


「アル様に果し状を突き付けたとは流石、ユリーリャ」


「ララネ、今更感心してる場合じゃないよ」


「良いなぁ!あたしも、アル様に喧嘩売りたかった!」


「姉さんは馬鹿なの!」


「ユリ坊、頑張れ、坊ちゃんの好き嫌いを治したてな」


「はい!じゃ、行って来ます!」


僕はそう言って部屋から出て、王宮に向かった。向かう途中で、王宮に入るための王子王女従者専用の入り口に到着した。


「誰だ?」


「えっと、僕フィアルド様の専属従者のユリーリャと言います!今日は城内の図書室に行きたいのですが」


「フィアルド様の従者、ユリーリャ、、、、あぁ、先日保護した少年が君だね。分かった。どうぞ中へ」


ペコッ


優しく言ってくれて僕は一礼してから場内に入る。入ると、すぐに配置図を開いて確認する。


「えぇと、図書室は2階の別館、西側の所に渡り廊下で繋がってるから少し離れてるけど、」


ここまでに行くまでに行きたい所があるので、よしとしようと、思いながら2階への階段に向かう。


「、、、、ん?あれ何」


「何で、〜〜〜〜、〜〜!!」


「〜〜〜、良くない??!!!」


階段付近に近づくと2人の男性が言い争っていた。僕は気まずくならない様に素早く階段を駆け上がろうとした時。


カタンッ


「「誰か居る!?」」


「ピャッ ヒャイ!」


2人の凄い威圧に負けて、僕は声を上げて2人に見える様に顔を出す。


「君、誰のメイド?」


「ぁ、えっと、フィアルド様の専属従者のユリーリャです」


僕がそう言うと2人は先程までの強い威圧から一変、ふわっとした雰囲気を纏って僕に近づいて来た。


「!アルのメイド!」


「アルまた、新しい従者雇ったのか」


「、、、、《呼び捨て?》」


僕がぼそっとそう言うと、2人はピクッと耳を動かして、笑う様に僕に話す。


「あれ?知らない、俺一応ここの第1王子、ファリミドだが?」


「俺もここの第2王子で王位継承権第1位、フォージアだよ」


「えっ?、、、、、、、、え?」


そう言われて、僕は一瞬頭が???で埋め尽くされた。だが、すぐに僕は正気に戻って、2人の顔を良く見て声を上げた。


「えぇ〜!!!??」


「そんなに、驚く?」


、、、、よくよく見れば、2人は何処となくアル様に似ているし、ファリミド様は狼の獣人で、アル様同様吸血鬼みたいな雰囲気を感じるし目元と喋り方が似てる。

フォージア様は狼の獣人とエルフの血が濃いと感じる、髪色は違うけど目の色はアル様と同じで華奢だけど、威圧感はアル様そっくりだと思う。


「お2人共アル様そっくりですね」


「そう?ありがと」


「あの、失礼ですが、何故ファリミド様が此処に?ファリミド様って、確か隣国に婿入りしたんですよね?」


「あぁ、ちょとこの馬鹿を〆にな」


「〆って、フォージア様何したんですか」


「何もしてないって」


「は?お前が魔法騎士庁のトップになったせいで、アルが次期国王になったんだぞ!?」

「お前は少しはアイツの負担を考えろ!」


「、、、、それをミド兄さんに言われたくないよ。俺は昔から、次男だから王にはならないって思ってたから、違う職業で頑張ろうって思ってたらさ」

「8年前、俺が18歳、兄さんが22歳の時に急に兄さんが隣国の王女と婚約して王太子になった事で、俺が王位継承権1位になった」


そう迫真あるが冷静に綺麗な顔で言い放つフォージア様に少し気まずい顔をする。


「あぁ、それはすまない」


「だから、俺は国王になるんならと思って魔法騎士庁に入庁して、4年でトップに立った」

「その時に、アルならアルだから出来る国の守り方があるんじゃないかって思った。それに、俺は魔法騎士庁の仕事にやり甲斐があった。だがら、アルに次期国王になって貰おうと思った」


「、、、、分かった。ジアの気持ちは充分分かったよ。ただ、俺に相談もせずにするのはどうかと思う」


「それは、ごめん」


「、、、、仲直りしました?」


「「ぁ」」


2人はすっかり僕の存在を忘れていた様で、僕は2人に声をかけたら2人は「ぁ、忘れてた」みたいな顔をする。僕はちょとふわっとしながら、2人を見る。


「ユリーリャ、そう言えば何で城内に?」


「ぁ、城内にある図書室に行きたくて」


「図書室?何で」


「、、、、実は、その、、、、」


そう言われて僕はアル様のお兄様だしと思って、何で行くかとか色々全て話した。話している中で、2人の「まだ、治ってなかったのか」と言うかなが伝わる少し青くなった顔して手を顔に当てた時は少し同情してしまった。


「なら、俺も手伝おうか?」


「俺も俺も」


「え?良いんですか!」


「あぁ、アルの好き嫌いと極端偏食は俺らがどうにかしないといけないと思っていたしな」


「アルってほんと極端だもんね〜、一定の食に興味ないから3日ぐらい食べない時とかあるし」


「ジア、アルはそれをジアからは言われたくないと思うぞ。この甘党」


「ハハッ ミド兄さんだって辛党と甘党って言う極端じゃん」


「、、、、」


「ユリーリャどうした?」


「いや、流石アル様のお兄様だな〜、と思いました」


「「どー言う意味??」」


「そのままの意味です」


何て言いながら、2人に挟まれる形で図書室へと向かう。向かう道中で2人にあるお願いをされた。


「ユリーリャ、俺の事はミドでいいぞ、あと敬語もあんまりなくていい」


「俺も、家族とか従者にもジアって言われるからさ、そっちの方が言いな。あと敬語もなし!」


「、、、、分かりました。じゃなくて、分かった!ミド様、ジア様!」


「「あぁ/うん!」」


何て会話をしていたら、気付けば図書室に着き、中に入る。実は僕は以前、父様と母様に連れられて、王宮の図書室に来た事があった。だが、前の図書室は此処じゃなく、本館、城内にあった。


「デカい、、、、、《前来た時は此処じゃなかったし》」


「ピクッ なんか言った?」


「いえ!何でも、さっ、探しますか!」


そう言って僕は図書室内に傘ってある分類ごとに本が別けられているから、それが分かる様に紙として飾ってある。僕はそれを3人で見る。


「で、何探すの?」


「一旦は料理本ですかね。僕が作れる料理以外も知っときたいんで」


「料理ね〜、ぁ!これじゃない?【調理、料理類】って書かれてるし」


ジア様が指を指したのは3列になっている本棚の所に【調理、料理類】と記載されていた。


「此処っぽいですね。じゃ手分けして野菜を使った料理が載ってある本を持って来ましょう」


僕がそう言うと2人は本を探しに行った。僕も2人に続いて、記載されていた本棚に向かうと大量の料理の本が並べられていた。僕は試しに、1冊本を取ってみた。


「えぇと、これは、、、、」


開くとそこには【王族が満足するボリュームたっぷりステーキ】と書かれたステーキのレシピが載っていた。それを飛ばして、数ページペラペラしていると、、、、


「、、、、あっ!」


そこに載っていたのは、【お手軽サラダ】と書かれたレシピ。良く見ると、ドレッシングがレモンを使われてる。、、、、もしかして、




「ぁ!ミド様、ジア様!」


あれから約1時間、色々な本を探してまとめて、図書室の出口付近に行くとすでにお2人が本を持って待っていた。


「ぁ、ユリーリャ、大量だなぁ」


「はい、よっと」


本を机に置いて、一旦1番上の本を取り出してペラペラと髪をめくって先程のページを探し、2人に見せながら聞く。


「あの、アル様が野菜嫌いになった原因って確か、サラダに入ってた毒なんですよね?」


「ん?あぁ、そうだよ」


「それで?」


「その、その時に出たサラダってこのドレッシングじゃないですか?」


僕が指さすと2人は覗く様に見る。


「これだと思うよ。あの時は確か違う国の文化も取り入れようって感じで、レモンを使ったドレッシングが多かったんだっけ」


「そうだな。アルがそれに興味示して、次の日に食べたが、美味しくないって言って3口ぐらいで辞めたが、毒が少し回ってたのか高熱だしたんだよ。医者もそれ以上食べてたら命に関わっていたかも、って言ってたな」


「《そりゃあ、そうでしょ。僕でも無理だ》」


「「???」」


僕がそう呟くと2人は不思議そうに僕の方を見る。僕は少しビクッとしながらも、2人に説明した。


「レシピを見る限り、このドレッシングは酸っぱいですよ。いくら砂糖が入ってても、レモンの量が多けりゃ、子供の味覚は大人の何倍良いと思ってるんですか」

「それに、多分ですが、アル様って人より味覚が鋭いんじゃないですか?」


「鋭い?」


「はい、酸っぱいって言うだけなら、ドレッシングなしでも野菜は食べれるけど、多分その時に出た野菜は毒が含まれた野菜だと、僕は思います」


「ぇ!」


「だがら、野菜から出る毒の味で野菜が美味しくないってのでインプットされてるんだと思います」


「確かに、アルって昔から無駄に味覚は鋭そうだなぁ〜とは感じてたけど」


「俺も、アルは気に入った食べ物以外は食べないから、そーゆう性格だと思っていたな」


「まぁ、普通はそうですよね笑」

「じゃ、お2人が持ってきた本も見ますか!」


「「だな/だね!」」


お2人の揃った声で僕らは席に着いて、本を読み漁った。

気付けば、夕方になっていたことにも気づかずに。




「ユリーリャ、そろそろ、終わりにしよう、」


「へ?、、、、ぁ、はい」


窓を見ると既に暗くなってきており、僕は急いで本を閉じて戻そうをした。が、ミド様に手を掴まれて止められた。


「大丈夫、此処の本って付与魔法で元の本棚に戻る様に魔法がかけられてるんだ。だがら、俺らが戻したりしなくても良いの」


「数時間後には元通りのとこに戻ってるから!」


「そうですか」


2人にそう言われて、僕は納得したと同時にある事を思い出して、ポケットからある折った紙を4枚を取り出す。


「あの、ジア様、これ開発部の人に渡して貰いませんかね?ジア様からの依頼だったら、すぐに受けてくれると思うので」


「開発部に?」


僕が渡した紙に書かれているのは炊飯器、圧力鍋、オーブンレンジ、フライヤーの設計図が書かれている。開発部の事はシャルヤさんに教えて貰った、朝に『開発部の人って結構食べる事が好きだから調理器具とかならすぐに引き受けてくれると思うよ。もし出来なかったらアル様の名前だしな』って言われていた。


「はい、アル様に万全な料理を作るために必要です!」


「分かったよ、俺に任せな」


「はい!」

「じゃ、僕朝昼出来なかった分の仕事しないと行けないんで、そろそろ行きます!」


「あぁ、行ってこい」


「行ってらっしゃい♪」


そう言われて僕は図書室から出ようと扉に手をかけて開けていると、ミド様に声をかけられて振り返る。


「ユリーリャ」


「はい?何ですか?」


「いや、その何作るんだ?」


「フフッ 2択で決まってます!」


「2択?」


「、、、、和食と洋食です!では!」


「「ワショクとヨウショク???」」


僕は笑顔でそう言って図書室から出て行く。出て行く時に2人の揃った声が聞こえて少し笑ってしまったのは此処だけの秘密。

僕は急いで、ボタン宮に戻り、部屋の掃除や料理の手伝いなどをした。そして、お風呂に入り眠った。




























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