第4話 アル様の好き嫌いとユリスティアの本領発揮





あれから、王都の市場へと出向き色々2人に教えてもらった。


「あの、パン屋さん、ジーバスさん程ではないけど、中々良いパンを作るんだよね」


「あそこの肉屋さんは王宮が取り扱ってる肉屋さんではないけど、中々良い肉が取り扱っててさ」


「へぇ〜、あ、野菜とかってやっぱ、り?」


「「買いません」」


そうきっぱりと2人に言われて、僕はですよね〜って顔をする。


「ぁ、あそこの喫茶店で休憩しよっか。あそこのコーヒー美味しいんだよ」


「はい!」


そう言って僕らは喫茶店に入り、休憩した。コーヒーを飲みながら、僕は2人に質問する。


「あの、アル様って何で、野菜嫌いなんですか?美味しくないから〜とか?」


「ん〜、それもあるけど、昔、アル様が5歳の時に暗殺目論んだ奴らに料理に毒入れたんだ。それもサラダに」


「!!?!?」


「それで、アル様は野菜が大っ嫌いになって、以来僕らがどうにかして食べさせてるけど、中々食べてくれないんだよね〜」


「それに、そのアル様実はね、」


「実は?」


「美味しいと思った食べ物以外は食べないし、それ以外には興味を持たない。言わば、野菜嫌い&極端偏食だね」


「、、、、それヤバくないですか?」


「「コクコクッ」」


僕がそう言うと2人が深く頷き、顔も少し青い。事は一大事の様だ。


「本当にヤバいですって、野菜嫌いならまだ良いですが、極端な偏食って、バランスが悪い!お肉とかパンだけってなったら、圧倒的にビタミンとか足りませんよ!体の調子とか悪くなったりしないんですか!?」

「て言うか、こーゆうのって従者が直したりするんじゃ!?」


ちょと大きめな声で言うと2人はもっと顔を青くした。


「おっしゃる通り、月に一回熱を出したりするけど」


「僕の回復魔法を良い事に、好き嫌いと極端偏食を治そうとしません」


「アル様は、狼の獣人、吸血鬼、エルフの血を持ってるけど、狼と吸血鬼の血が濃い、逆にエルフの血は顔以外殆どないと言っても良い。だから、多分」


「狼と吸血鬼の遺伝子のせいで、野菜を食べないんじゃないかと」


「ま、その逆で野菜は食べれるかもしれないんだけどね。他の王子や王女様たちも野菜は普通に食べるんですがね。アル様が特殊なだけだ」


「ハァァァァ〜、ヤバいじゃないですか」


僕がため息いっぱいに言うと2人は僕の顔を見てある確信を得たかの様に質問をしてきた。


「その言い方、ユリーリャって、料理とかするの?」


「ぇ?ぁ、はい、料理は結構好きで、色々作ったり出来ますが、」


「野菜使った料理とかは?」


「昔、僕も野菜は嫌いだったんで、美味しく食べれる様にするのは結構得意ですが、」


「っなら!アル様の好き嫌いと極端偏食治してくれない?」


「、、、、、、、、僕が?!」


「うちの従者はみんな、一通り料理は出来るんだけど、アル様に食べさせても全然美味しくないって言われましたしね」


「私の料理も不味いって言われたんだよね〜」


「シャルヤさんの料理は充分美味しいですよ。ただ、あの人は生粋の偏食家だから」


「「だから!!」」


そう疲労感満載の顔と「もうあの偏食家には付き合えません」と言うか顔で言われて、僕は断る術を持っていないから、引き受けてしまった。だが、引き受けてしまった事が、後々後悔し僕の料理好きの心を燃えさせるとは、思っていなかった。


「わ、分かりましたよ!引き受ければ、良いんでしょ!」


「「ヤッタ〜!!」」


パチンッ‼︎


僕がそう言うと笑顔で、2人はハイタッチをする。





あれから数時間が経ち、僕はガゼルさんに言われて、アル様の執務室の前に来ている。


コンコンッ


「入れ」


ガチャ


「アル様、ご飯の時間です」


「あぁ、分かった。、、、、ユリーリャ」


「はい?何ですか? フワッ 」


「今日はどうだった? ドキッ // (まただ、ユリーリャから香るこの匂いとユリーリャの顔を見るとドキッとしてしまって顔が熱い、それにユリーリャを見ていると離したくないって思ってしまう。それにユリーリャ、何か超可愛い、!)」


「へ?、、、、楽しかったです。久しぶり家族みたいな人達と一緒に入れて、何か言葉には出来ませんが、嬉しかったです」


「、、、、そうか、良かった、笑」


「、、、、/// 」


「どうした?」


「いえ何でも!さ、行きましょう!」


アル様の微笑みに僕のΩとしての何かが反応したのか、それとも普通にイケメン過ぎるからなのかは、分からないが顔が赤くなるのが分かった。

僕はアル様と一緒に大広間に行く。


「シャルヤさんと、ユフィーネさん、連れて来ました」


「ありがと」


「ユリーリャ、見ときな。アル様の好き嫌いを」


「もしかして、殿下の料理に野菜入れようって言ったのって、ユリーリャに見せるために?」


「はい、ユリーリャが好き嫌いを治すのを引き受けくれて、それで」


何て後ろで言いながら、僕はアル様を席に付かせて、シャルヤさんが料理をアル様の前に置く。置くとすぐに料理の変化に気付いた模様。


「、、、、シャルヤ、これは何だ?」


「これとは?」


「ブロッコリーと人参だ」


アル様が指を指した先には、ニンニクで焼いたステーキの横にブロッコリーと人参が置いてある。


「今日は食べたくないとユフィーネに言ったはずだが?」


「ハハッ んな言っただけで、私に通るとお思いで?今日は少なめなんですから、食べろ」


冷たい目でそう言い放ったシャルヤさんに、周りの空気が凍る。流石氷系の魔法使うだけはある。そう思っていると、アル様から強い威圧が放たれた。


「、、、、シャルヤ、俺が嫌だと言っているんだが??」


ブワッ


「ツ、」


「ツ、、、、ハッ アンタはそろそろ、好き嫌いを治せよ。子供じゃねーんだから」


「ぁあ″?、、、、主人に向かってそーゆう言い方か?」


「、、、、フッ 主人の自覚があるんだったら、少しは従者に迷惑かけるなよ」


「迷惑?俺が迷惑かけられているんだが?俺は野菜は食べない」


2人の背後に氷龍と炎狼が見える。言い争ってる2人を横目に見ているユフィーネさんは何かフワってしている。


「わぁ〜、殿下とシャルヤの言い争い久しぶりに見たわ〜」


「ユフィーネさん、何呑気な事を」


「ユリーリャはこれ見て、どう思った?」


「へ?」


そう言われて僕は一瞬戸惑ったが、すぐに考え込む。

考え込んですぐに来た感情は驚きが来たぐらいだ。


「そもそも、この国は美味い食べ物が少ない。美味しくない物は口にしたくない。食べて貰いたいのなら、美味しくしろ」


「、、、、ピキッ」


「ユリーリャ?」


アル様のその言葉で僕は一瞬で怒りと言う感情で埋め尽くされた。僕は気付けば、アル様を詰めていた。


「美味しくしろ?何、その上から目線笑」


「ぁあ″!、、、、!ユリーリャ、」

「(ぇ、?ユリーリャ、怒ってない?ぇ、どうしよう。、、、、でも、怒ってるユリーリャを見てもドキドキしてしまうし、可愛いって思ってしまう!)」


「良いですか?アル様、貴方のそれただのわがまま!何が美味しくないだぁ?確かに、美味しくない物だってあるが、貴方の場合、1回食べて美味しくなかったから、違う人が作った物だって、美味しくないって一方的に判断してんだろ?」

「1つ、料理と言うのは作る人ごとで、味なんて全然変わる。2つ、料理と言うのは作り方などの工夫で違う料理になる。3つ、子供の時の舌と大人の舌は別物だ。今現在の舌はどんなものか分かろうとしろ」


僕がそう言うとアル様は驚き動揺をした後、言い返そうとする。


「ツ、だが」


「だがとか言うなよ。一度、それも小さい頃、毒殺されそうになったってだけで、その一度だけで他にも毒があるとでも?まぁ、それがトラウマになるって事もあるが、アンタの場合異常だ」


「わぉ、アンタ呼びする人初めて見た」


「そりゃあ、シャルヤ以外する人居ないものね」


「な、何、、、、、なら、ユリーリャは俺が美味しいと思える野菜を使った料理が作れるのか?」


「作れると思いますが、ですが、貴方みたいな異常何偏食家は美味しいと言ってくれるんでしょうかね〜?」


「どー言う意味だ?」


「貴方は良い意味で大人だ。だけど、悪い意味で子供だ。一度、野菜は美味しくないって言う凝り固まった考え方を変えるなんて難しい」

「そう、貴方は美味しいと思ってもそれを言葉や顔に出さなければ、「美味しい」と言葉でも顔でも出してないと、言えるんですから」


「、、、、ッ」

「(正論だよ!そうだよ!どうしよう。ぇ、謝った方が良い?でも、ユリーリャの料理食べたいし、引き下がれない。さらにちょと大人っぽいユリーリャも可愛い)」


「だから、約束してください。僕が作った料理を嘘偽りなく貴方が思った言葉で言ってください。「不味い」や「美味しくない」って思ったら、是非言葉にして言ってください」

「ですが、一度でも「美味しい」と思ったら、ちゃんとしっかりと言葉にして、僕に僕らに言ってください」


「、、、、ユリーリャ、そうだな(絶対、言わない。て言うか、不味くても美味しいって言うかもしれない)」


「僕が、、貴方にどんな料理も美味しいって、好きだって思える様にしますよ!」


僕がそう言うと、アル様いやフィアルドは立ち上がって、僕に向かって歩いて来た。


「分かった。素直な感想を言うと約束するよ。俺に野菜を使った美味しいと思える料理を作ってくれ」


「えぇ、貴方様に僕が出せる最上級の料理を出してあげますよ!」

「昔、僕が野菜嫌いを治した様に」


「期待してるよ(撫でても良いよね?寧ろ撫でたい!この可愛いユリーリャを撫で回したい!)」


ナデナデ


そう言って僕の頭を撫でるアル様に僕は少し困惑しながらも、受け入れた。すると、それを見ていた2人が僕らに呆れた声で声をかけて来た。


「2人共さっきまで、喧嘩してたのに、今は何かふわふわしてるの何〜。羨ましいなぁ〜」


「ユリーリャありがとうね。この馬鹿殿下にしっかりと言ってくれて」


「馬鹿、!何を」


「はいはい、怒らない」


「それで、ユリーリャ、いつアル様に料理食べさせるの?」


「ん〜、3日あれば良いな。それが良いと思う。どうですか?ぁ、もっと短い方が良いですか?!」


伺う様に僕が言うと、3人は微笑ましいなぁ、見たいな顔をしながら僕を見つめてくるので、僕はすぐに照れる。僕の顔は真っ赤だろう。


「ブワッ や、辞めてくださいよ!それじゃ、ぼ、僕部屋に戻ります!アル様、か、覚悟して下さい!」


バタンッ


僕はそう言って大広間から出て、部屋に戻った。僕は着替えず、メイド服のままベットに倒れ込む。


「言い過ぎたかも〜!相手王子様じゃん!しかも次期国王じゃん!てか、マジヤバいじゃん!」


何て焦った声で言いながらすぐにパジャマに着替えて、ベットに仰向けで眠り始める。


「《でも、絶対に、あの人に美味しいと言わせるだ》」


そう呟いて眠った。





















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