第3話 勤務職日
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「王子、王女専属従者の主な仕事としては、王子王女の身の回りの世話や警護、あとは仕事の管理、パーティの招待状などが来た時、相手の家柄やその国の内情を調べたりするのが仕事。あとは、王子近衛騎士団の見回りとか?」
「今、アル様は国王のとこ居るから、暫くは暇、なので、今からボタン宮を案内するよ」
そう笑顔で言って立ち上がるシャルヤさんと、その隣に居るハルーラさん。
仕事内容を聞いてやっぱり少し違うが僕の家と同じぐらいの仕事内容だと、思えた。
僕は頷き立ち上がって、2人の側に行く。
「じゃ、多分アル様、ここ来ると思うから、その時はマーシャ、マーシャの2人が対応してね〜」
「分かった!!」
「分かりました」
そう2人の声を聞いて僕ら3人は外に出る。外に出ると来た道の反対側を歩き始め、何故か僕を挟み込む様に歩いている。沈黙が怖いので、気になった事を質問した。
「あの、先ほど言ってた、ボタン宮ってなんですか?ここって王宮じゃないんですか?」
「あぁ、それね。確かに王宮は存在するが、ここは所謂、王子王女専用の家って感じ。王宮は従者とか騎士達に良く言われるのはローズ宮って呼ばれてる」
「王子王女は10歳を過ぎるとローズ宮を出て、与えられた新たな宮で従者と近衛騎士団と共に生活する。だから、急な帰省などでもご自身が持つ宮で過ごす王族が多いし、後、王弟や王妹などの宮もありますが、一定の期間を持ってその宮を他の王族に渡したりする事もある。この事を知ってるのは王族と王宮関係者ぐらいだね」
歩きながら淡々と説明をしてくれる2人。それを聞いて少し、納得をしてしまった僕。何故なら、昔良く兄や姉達が〇〇宮言ってくる!とか、◇◇宮に言ってきます。って、言ってたが幼かった僕は理解が出来なかった。歩きながら、厨房、食堂の場所や応接室、お客様専用の部屋、洗濯機があるとか、アル様が使うお風呂やトイレ、従者達が使うお風呂、トイレ、近衛騎士団達が暮らす少し離れた大きな屋敷も案内された。食堂に再び行くと、30代後半ぐらいのシェフの方がパンを焼いたらしく、焼き立てを貰う事ができた。
「ぁ、さっきの坊主じゃねーか。そうだ、パン試しに食べてくれねーか?新作なんだけどよ?」
そう言って差し出されたのは、パンの上にベーコンとチーズが乗って焼かれたパンだった。少しバターの匂いがして、食欲がそそされる。僕は躊躇する事なく、パンを受け取って口に入れると、一瞬で口の中に旨みが広がった。
その味は前世で食べたパン達と同じぐらい美味しくて、この世界で食べたパンの中で1番美味しいと思えた。この世界での実家のパンも美味いが、このパンに比べたら普通だ。この人、実は前世持ちとかじゃないよね?それだったら、納得するぐらい美味い。
頭の中で一瞬で色んな言葉が出て来て、口からも思った事を思ったままに口にした。
「!!、うまっ!ベーコンの塩気とチーズの濃厚さがパンに合う!パンも少し硬めだから、カリッてしてて美味しい!バターが良いアクセントになってる!」
「本当か?なら嬉しいぜ、何かアドバイスとかあるか?」
「ぇ?ん〜、焼く前にブラックペッパーをかけたりすると、良いかも。あとは、鶏肉とか貝類でも美味しいかも?」
「ぉ、良いね。その案貰うわ、今度作ったら、来てくれよ」
「はい」
「ジーバスさんのパン美味かったろ?」
「うん、とっても美味しかった。元々、王宮の料理人だったの?」
「いや、王都の西部にお忍びでアル様と私が行った時に行ったパン屋さんでバージさんが働いてたんだ。その時に、アル様がスカウト」
「アル様、一度美味しいって思ったら、それ作った人、逃さない人がだから。結構食にうるさいんだよね」
そう笑顔で答えてくれた2人。新しい情報を聞いて、へぇと、思っていたら、シャルヤさんがすかさず新たな情報を教えてくれた。
「ま、野菜嫌いなんだけどね」
「やっぱ、肉食の人って野菜嫌いなのか?でも、私は好きだし、ん〜、ぁ、狼あるある?」
「んな訳ないでしょ?」
「野菜嫌いなんだ、意外」
「あの人の野菜嫌いは筋金入りだから、覚悟しときな」
「うんうん、僕も最初見た時は驚愕したよね笑、ま、すぐになれるよ」
そう笑顔で言う2人に少し可愛いな、何て思いながら2人から放たれる2つの香りが気になり、僕はずっと聞きたかった事を失礼なない様に、僕が嫌だった言い方じゃない様に真剣な声、目で2人に質問をした。
少し、僕の体が震えていたが、多分緊張の表れだと思う。失礼じゃないかとか、違ったらどうしようとか、で頭が埋め尽くされるが、後々聞くのもどうかと思うから、意を決して声を出す。
「ぁ、あの!」
「もしかしてですけど、2人ってΩ《オメガ》ですか?」
「「、、、、、、、、」」
「うん、ぇ、てか良く気づいたね。薬飲んでるから匂いとか微量なはずなのに」
「良く、僕がΩだって気づいたね。気付かれないと思ってた」
「いや、僕鼻が良いので、分かってしまって、ぁ、気付かれたくなかったら嫌だったらすいません!」
「いや、全然、寧ろ教えるのを省けた。あ、他のみんなのバース性も教えとく」
「ガゼルさんとユフィーネさん、マーシャの3人がαで、他はΩだよ」
「へぇ〜、そうなんです、、ね、、、、、、、、ん?」
そうハルーラさんの言葉で理解すると、最後の言葉で少し引っかかってしまった。僕は立ち止まって、僕は少し驚いた顔をしながら、2人に聞いた。
「マ、マーシャさんって、αなんですか?」
「ぁ〜、気づいちゃったかぁ。そう、見た目的にはミーシャの方がαっぽいけど、実はマーシャがαなんだよ。これ、聞いたやつはいつも驚いてる」
「まぁ、アイツ、あぁ見えて結構成績は良いんだよね。ま、ミーシャには敵わないらしいが」
「ユリーリャは、バース性は?」
不意にそう言われて、少し戸惑ったが、言わない様にするため、誤魔化した。そして、再び歩き始めた。
「ぁ、分かんないです。検査とかした事なくて」
「そっかぁ、多分、アル様が検査受けさせると思うよ。あ、因みにアル様はαでⅥ
「Ⅵ型!珍しいですね、中々居ないんじゃ」
「そっ、だから国王も時期国王にしたんだと思うよ」
αとΩにはⅠ型からⅥ型までの6つのタイプがある。Ⅰ
この国では、βの数は55%、αは25%、そしてΩは20%だ。貴族や王族の多くがαかΩで、庶民の中に稀にαやΩが生まれ、貴族などに婿や嫁、養子に向かい入れたり、高い役職を持ったりする事がアル。
「、、、、でも、シャルヤさん達ってΩなのに、良くアル様に仕えてますね?」
「それはね〜、アル様の体質が関連してるんだよね笑」
「体質?」
「アル様は、Ωのフェロモンを感知、あてられる、感じる事が出来ない体質なんだよ。一言で言えばフェロモン不感知体質って私らは呼んでる」
「そっ、だから、あの人がフェロモンを感じれるのって、運命の番しか、居ないんだよ。まぁ、あの人番とか作る気なさそうだけどね」
「あ、だから、アル様はシャルヤさん達を従者に?」
「そうじゃないかな。あの人が1番実力主義って感じだし、どんな人でも実力があれば、認める人だから」
何て言いながら、歩いていると、大きく整った広場に着いた。辺りを見渡していると、シャルヤさんが執事服のテールコート(燕尾服)を脱ぎ、手袋を取ると、広場の中央に歩き始めた。
「じゃ、能力試験を始める。今から、ユリーリャが使える魔法や固有魔法を私に使って、2つ以上傷を付けれたら、合格。因みに、ハルーラは治癒魔法が得意なので、ここに居るの」
「怪我しても、安心してね〜」
「が、頑張ります!」
そう言って、僕も広場の中央に行き、少し体操をして、シャルヤさんに向かい合った。ハルーラさんがその間に来て、僕らの顔を確認して、合図をした。
「では、今から能力試験を始める。僕の合図で始めて、終わる時も僕の合図で終了して下さい」
「それでは、始め!!」
その声で、僕は2歩下がった。僕は念の為に地面を通して地面の草や花に魔力を通し纏わせている。すると、シャルヤさんが右手の手のひらから、氷で出来た日本刀に似た剣を創り、その周りに水を纏わせた物を出した。
僕はすぐに頭を回転させ、遠距離戦で有効な固有魔法を考えてある、魔法を思い出して、辺りを見渡した瞬間、シャルヤさんが僕の真後ろに来ていた。
「シュッ (剣を横に斬る様に僕の腹の近くに素早く綺麗に振るう)」
「ッ!!ザッ ヒュッ トンッ トンッ トンッ トンッ 」
僕は瞬時に肉体強化魔法でバク転を4回し、シャルヤさんと距離を取る。
「ぉ、これ避けれるなら、良いね」
ヤバい、と思いながら少し下がると足元に何かが当たったと、感じて見ると少し太く長い木の棒が2つありその近くに小石が1つ、あと草もむしり取った。僕は素早く拾いそれに魔力を纏わせて魔法をかけた。
「《物質変換、木を
そう小声で言うと瞬時に言った物に変換した。
「!物が変わった。物質を変える魔法?珍しいS級か」
驚きながら分析をするシャルヤさん。S級って言うのは固有魔法やスキルにある階級みたいな物で、S級を順にF級まである。S級は珍しい魔法やスキルを与えられる。僕の場合は転生特典で貰ったから、全部がS級である。
僕はシャルヤさんの間合いに入らない様に距離を取りながら、拳銃の中に魔法で銃弾を移動させる。ホルスターを太ももに付けて、1つはそこに収める。
バンッ!
僕は試しに、シャルヤさんの脳天目掛けて、向けて、拳銃を向け、魔力を纏わせた銃弾を撃つ。
「サッ (少し横に移動する)」
ドンッ!!
交わされると分かっていたので、普通にシャルヤさんの後ろにあった壁に当たり、少し壁が壊れた。銃弾は僕の手元から離れた事で小石に戻った。
「やるね〜、ま、私も本気だから」
そう言うと、目の前から居なくなった。すると足元に気配を感じ、僕は瞬時に空いている手のひらを出してすぐに避ける。シャルヤさんは地面から出て来て、液状化をしていたが一瞬で人の形に戻った。
ヒュッ
「ザシュッ ッ (手のひらの真ん中から血が出る)」
「あれ?今の攻撃なら、避けれると思ったけど」
「ハハッ 気にしないで下さいよ。それに、それが本気なんですか?僕はまだ本領発揮してるとは思えない、笑」
僕はそう言いながら、血が出た所に魔力を集中させ、血に魔力を混ぜる。僕の煽りをもろともせずに、普通に僕に向かって来た。その目はさっきまで優しかった目じゃなく冷たい目をしていた。
「言うね〜笑、良いよ、とりあえずヤルか」
そう言ってまた目の前から居なくなったと思ったら、周りが薄暗くなった事に気づき、すぐに手のひらから血をひもの様に出して、周りにあった柱の上の部分に引っ付く様に伸ばした。
引っ付けば、伸縮して僕は飛ぶ様に柱に到着した。
「血液を操る魔法、初めて見た。これは楽しみだ」
「そうですね。ま、まずは1ついただきます」
僕はそう言って拳銃を構える。小石を持っていないから、変換させるのは出来ないが、銃弾を作る事は出来る。僕は拳銃能力中に魔力で作った魔力弾を生成した。
魔力弾とはその名の通り魔力だけで作られた銃弾。僕は魔力操作を行い、魔力弾が撃たれた後の物に当たった後の事を魔力に伝える。例えば魔力弾の形を考えたり、鋭い刃みたいとか銃弾の様、針の様にとか、撃たれた後当たれば爆発する様にしたり身体に当たれば何の怪我もない代わりに魔力を侵食させウイルスに侵させる様にするとかを魔力を通して操る事が出来る。
僕は魔力弾に銃弾の様な形で当たるまでの速さは普通ぐらいで当たると大きな爆発が起きる様にと魔力を操作し伝える。伝えれば魔力が魔力弾へと変化をして、拳銃の中に入る。
僕はシャルヤさんに向けて大きく撃った。が、すぐに簡単に交わされる。だが、こんな事は分かってはいる。僕の狙いはこの後だ。
バンッッ!!!!!!
「ヒョイ 何?こんなので、私が当たるとでもぉ、」
ドンッッッ!!!!!!
次の瞬間、離れた魔力弾が何かに当たった。
「!!?!?」
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