第64話
へらりと笑って、誤魔化すように腕を握った。
どんなに誤魔化しても、彼の綺麗な目には見透かされる。そんな気がした。
彼はあたしの顔を見つめながら「……へんなの」とまた先ほどと同じように口を動かした。
今度はあたしに直接言っているんだろうな、と思いながら頬を掻くと、彼は「あの」と遠慮がちに言葉を続ける。
「きみは、よく……こういうの来るの」
「こういうの?」
「こういった集まり」
「い、いえ、そんなには……」
「……そっか」
「……」
「……」
何が訊きたかったのだろう。目を瞬かせたあと「あの……」と今度はあたしが口を開いた。
「あなたは、よく参加されるんですか?」
「ううん」
「そう、ですか」
「うん」
「なら……あんまり、会えないですね」
率直に感想を言えば、彼は少し目を丸くしたあと、少し恥ずかしそうに頷いてあたしの服を遠慮がちに引っ張った。
「次、いつ会える?」
「え、あ……」
「もう会えない?」
膝を立てて、その白い頬を乗せるようにして下からあたしを見上げる。
ほんのり寂しそうな色を見せるその綺麗な目に、子どもながら思わずたじろぎそうになった。
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