第42話
「そうか。さすが鷹月さんの息子さんだ。私も君が君のお父様のように立派な人間になれることを心待ちにしているよ」
「八神様にそのようにおっしゃっていただけるなんて光栄です。期待を裏切らぬよう、精進いたします」
一礼してにこやかに微笑むその子から、男の人は「それから」とゆっくりと視線を移した。
会話が交わされている間、ずっと俯いていた男の子へと。
彼は、誰とも視線を合わせないよう、ずっと彼らの足元を眺めているように見えた。
「今日は……〝その子〟も連れて来たんだな。鷹月さん」
「……そろそろ、こういう場を学んでもらいたくて……ほら翡翠、八神さんに挨拶」
「……くら、」
「翡翠」
「……鷹月翡翠です、この度はお招きいただき、ありがとうございます」
ぽつぽつと言葉を続けて、そのまま一礼をした。口調こそ褒められたものではないが、彼の兄と思わしき男の子に負けぬほど、仕草としては品のあるものだった。
そんな彼を寸秒ほど黙って眺めたあと、「鷹月さん」と彼の父親へと声を掛けた。
「少し失礼な言い方をしますが、彼の出生は」
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