第20話

「……お母さんは、」



小宵のこと、きらい?



そんなことを聞いて、あたしは何をしたかったのだろう。答えは決まっているのに。我ながらバカなことを聞いたものだ。




母はあたしの問いを聞いて、やつれた顔を怪訝そうな歪めたあと、迷わずにこう答えた。



「この世で一番、大嫌いよ」



その言葉に不思議と傷つきはしなかった。答えがわかっていたからだ。


ただ。そっか、と腑に落ちて、その日以来過度な期待を母にすることはなくなった。









「小宵ちゃん、学校なんだけど伊吹と一緒に洸瞑学院の初等部に通うのはどうかしら?」


「……え?」


「小宵ちゃんの学校はここからじゃ少し遠くの方でしょう?それに洸瞑なら伊吹もいるし、一緒に送迎出来て、帰り道も楽しいでしょう?小宵ちゃんにとっても不便がなくなるんじゃないかな?」


今通っている学校は洸瞑には到底及ばないものの格式の高い学校ではあった。学業は勿論、運動に秀でた人たちもいるし教養とマナーを学ぶには十分な学校だった。

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