第6話

一気に血の気が引く。そのグロテスクな見た目をこんなに間近に見たのは初めてで、あたしはあまりの気持ち悪さに眩暈がしてそのまま倒れ込んだ。




「こっこここ!?小宵ちゃん!!ちょっと誰か!!誰か来て!!!!!」



慌ててあたしの身体を支えた飾利さんが真っ青な顔で叫んでいる。伊吹は走り出して、誰かにこのことを伝えようと家の中に駆けて行った。


そのあと聞いた話によると、飾利さんはあれから物凄く反省をしたらしく、暫く庭の花を見に行くことも少なくなったのだと春明さんが言っていた。



あたしはこの時のことがあまり記憶がなく、ただそれをきっかけに虫が大っ嫌いになってしまった。









「……おかえり、小宵。また飾利のところに行ってたの?やめなさいって言ってるでしょ、迷惑ばっかりかけて、またこの前みたいに蜂に刺されても知らないわよ」



薄暗い部屋の中で、床に転がったままの花瓶やぐしゃぐしゃになったままの洋服を掻き分けて、その人はぽつりと座っていた。


まるでこの世界にひとりぼっちで取り残されたような顔をして、窓の外だけをじっと眺めている。

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