第90話

「コノエ、くん…?」



「俺、ほんと、だめな弟でっ…」



「……、」



「あいつ、いっつも笑ってるけどっ、ほんとうは多分、そうじゃないんだって、俺、一番近くでみて、知ってるのに、心配しか、かけられなくてっ」





なんの、ことを言っているのだろうか。



何かを思い出すように、


吐露するように、


コノエくんはそれを続けていく。



掠れて、嗄れて、いつの間にこんなに涙声になっていたんだろう。



その手のひらの下は、もしかして泣いているの…?





『アホリュウ!触んじゃねェ!!』



って、いつもリュウくんに言っているあれは、本心じゃなかったの…?




コノエくん、



いつもと、違うよ、



いつもの言葉遣いの悪いコノエくんは、どこいったの、




どこに、







「………っ、な、に」

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