第89話

「そ、それは、まさかいじめですか!?」



「そういうんじゃないんだけど!……中学上がる頃くらいから、そういうのヒートアップして、家とかまでつけられたこともある」



「!!」



「だから女とは、あんまり関わらないようにしてたんだ。だけど、リュウが……、」



「リュウくんが?」



「リュウが、前に、友達を家に連れて来たことがあって、その中に何人か女がいて、……そいつら、リュウが外出てる隙に、俺ん所来て、それで…、」



「コノエくん……?」



「そ、れで、ちょっと嫌なことされて……」



「嫌な、こと…?」




眉を顰めたあたしに、コノエくんはさらに俯いて、小さな声で、



「カラダ、……触られて、」



「…………、」



「俺、女とか、殴ったことなかったし、どうしたらいいか、わかんなくて…っ!でも、気持ちが悪くて…、怪我させちゃって…!その後、リュウが来て、助けてくれてっ、だけど、そしたらっ、」



顔を片手で覆いながら、コノエくんの言葉が続かなくなる。

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