第84話

彼は「そんなのわかってんだよ!」と、あたしの腕を払うように離した。




「でもさっきよりはマシだよ、アンタが窓開けてくれたから……、」



と、顔を上げ、コノエくんは少しだけほっとしたような表情をする。






〝暗くて閉じ込められた空間は好きじゃねー、んだ〟






表情は…、



表情は、少し柔くなったけれど、まだ硬い印象がある。



じゃあ、顔色は…?


暗くてよくわからないけど、だけど、


コノエくんの肌、いつもより白いんじゃない…?




ここに入って、一体どのくらい過ぎたんだろう。



あたしが気を失ってから、一体どのくらい時間が過ぎた…?




あたしの膝にかかっているブレザーを見る。


シャツ越しに腕を掴まれたとは言え、コノエくんの手先は冷たいように思えた。

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