第82話

「まるでいつもみたいな…、」



言葉が途中で止まった。





「………まさかオマエ、元に戻ってる?」



「……へっ!?」



探るような言い方に、あたしは思わず大きく反応してしまった。



〝元に戻ってる〟という言い方がひっかかるけれど、あたしはどうやらさっきまで〝いつものあたし〟じゃなかったらしい。



らしい、というよりもそうに違いなかった。





だって、何故なら、





「ごっ、」



何故なら――、



「ごめんなさいっ!!」



「は…?」



「あ、あた、あたし…!コノエくんになんてことを……!!」



何故なら、その、〝いつものあたし〟じゃなかった時の記憶が、あたしの中に残っているのだ。


何をやったか、何を言ったか、




全て、覚えている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る