第78話

「……っあ。開いた、コノエくん。開きましたよー」



お知らせしながら、あたしは窓の外を覗く。



あまり人が通らなそうな、そして全く持って日の当たっていない裏庭を見て、



「すいませーん、誰かいませんかー?」



一応言ってみる。




「おい、そっち側って、あんま人通んないんじゃないの…?」



コノエくんが後ろの方でそれを言っている。



ああ、やっぱりか。


じゃあ、どうするべきなのか。


うーん、と考えていると、不意に、鉄格子の傍の埃が揺れたと思ってそちらに目を向けた、ら。



「!?」



なんだかよくわからない黒い虫が一緒に走っていた。



虫が嫌い、それはどんなに人格になっても変わりはないらしい。


ひっ!と、格子から手を離せば、軋む棚に片足しか乗せてないあたしを待っているのは地面への落下のみ。


踏み台やら何やらが並べてあるそこに、背中から思いっきり落ちれば、ガタガタァ!と、びっくりするくらい大きな音が鳴った。

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