第74話

「え、ちょっ!」



バドミントンのラケットや、テニスボールの籠を思いっきり背中で受け止めてしまって、「いったぁ…、」と堪え切れずに声を零す。



「なにしてんのお前っ!」



あたしから庇うように、身体を抱き竦められているコノエくんは、じたばたと下で暴れている。



「あ、ごめんねーコノエくん…大丈夫?」



「っ!、何してんのあんた!バカなんじゃねえの!?」



「ああ、っはは、なんか咄嗟に…」



「っていうか!さっさと離せ!!」



「あーそうだね。ごめんなさい」




背中をさすりながら、その身体を離す。


際に鼻腔を擽った、コノエくんからの甘い香りに、背中の痛みが少し落ち着く。



あたしは持っていたブレザーを「あのね、これ」と。



「……はっ?」



「持っててくれる?」



「なんで…?」




眉根を寄せる彼に、あたしは「イイところを見せようと思って」とニッコリ笑って見せた。


同時に、「は?」と間の抜けたコノエくんの声が聞こえる。

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