第68話
外にいるのは、「ふんふんふーん」と、耳にイヤフォンをしながら、気分よさげに鼻歌を歌っている男の子が一人。
恐らく、こちらに気づかないで体育倉庫を閉めてしまったらしい。
けれども、そんなことが中にいるあたしとコノエくんにわかるはずもなく。
「おいっ、おいって!!」
バンバンバン!と扉を拳で叩くコノエくん。
それを見つめながら、「もしかして、鍵かけられちゃったのかな…」と、呑気に言うけれど、
「まだ中にいんだろ!!おいっ!!」
コノエくんがあまりにも必死にそれを叫んでいるから、あたしもとりあえず扉を叩いた。
コンコンコン、と言った感じにだけれど。
「あのー、まだいるんですけどー」
「開けろよっ!!」
対照的な温度差で、あたし達は外に向かって声をかける。
「ダメだなぁ…」
「おいっ、誰か、誰か!!」
早々と諦めたあたしとは引き換え、コノエくんはガンガンとそれを叩いている。
その焦ったような声色に、あたしはやはり首を傾げてしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます