第62話

まるで犬のように吠えてくるコノエくんに、「えー、それじゃあつまらないですよー」と近づけば、


それに気づいた彼は、びく、と肩を揺らす。


から、また一歩近づけば、今度は肩を揺らして、一歩下がった。




「………」



「………」



また一歩近づけば、一歩遠ざかるコノエくん。








ど、




「どうして逃げるのコノエくぅうううん!!」



「ぎゃー!?追ってくんなぁあああ!!」




「………」


「………」


「………」




顔を青ざめさせて逃げ出したコノエくんを、思わず追いかけてしまう。


それを何やら無言で見つめてしまっている周りの人達。



両手を広げてあたしが追いかければ、コノエくんは全力で逃げていく。




その反応が面白くて、さらに「待ってー!!」と声を上げて追いかけていけば、





「あ、コノエちゃん、そっちはっ…、」



トラくんが言ったと同時に、コノエくんは内履きのまま外へ出て行ってしまった。


そして、その後をあたしも走って追いかける。

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