第56話
「さァ、勝負しましょうかミクさん」
「っ」
じり、と距離を縮めるあたしに、ミクさんは後ろへと下がり、
「ちょ、百田!オマエ、試しに行ってこい!」
「は!?なんで俺!!」
ミクさんは自分の一番近くにいたモヒカン頭の制服を掴み、あたしの方へと押す。
「頼むマジ!アイツさっきから意味不明なんだよ…!」
「三國さんのが意味不明っスよ!なんで俺がいかなきゃなんねーのか!!」
「いいから試しだ試し!ちょっと近づいてさっさと戻ってくればいいだけの話だから!!」
「尚のこと意味不明なんスけど!!」
真っ青になりながらミクさんの方を振り返っているモヒカンさんに近づき、あたしはニッコリと笑う。
彼はあたしを見ながら「へ…」と間の抜けた声を上げる。
「あたしの相手をしてくれるんですか?」
「え、あ、いや…!」
その狼狽えるモヒカンさんの肩に触れる。
指の腹で撫でるようにして、そのまま手をかければ、その細い身体がびくっと揺れた。
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