第52話

「ハァ?ふざけんな、なんで…」



「ほら?戦う前の儀式って言いますか、」




ミクさんの後頭部に回していた手に力を込める。


彼は目を大きく見張り、「な、」と声を零し、





「やっぱり、ココはキスの一つでもしておきたいじゃないですか」



「やっぱり、じゃねェよ!アホかオマエ!!」



「ほら、口閉じて下さい」



「やっ、めろって…!言ってんだろうがァ…!!」



ぐぐぐぐっとあたしの頬を無遠慮に押してくるミクさんに、あたしの顔は見事に歪む。




「ひぇ、ひぇれへひゅんへひゅか…?」



「ああ゛っ!?」



「照れてるんですか?」



「だァれが照れるかボケェェエ!!」



「あた゛ぁ!?」




パアアアアンッ!と。



額に思いっきり張り手をされた。


痛いし、びっくりしてしまった。


さすがのあたしも思わずよろけて、そのまま床に尻もちをつく。

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