第47話

唇に弧を描いて見せれば、ミクさんはぴくりと片頬を動かし、




「嫌そうな顔してほしいな、って」



「っ、」




ばっ!とあたしから手を離し、一気に距離を広げるミクさんに、あたしは「あ」と声を零す。



リポDに夢中だったトラくんたちは「んー?」と呑気に顔を上げ、こちらに目を向けていた。




「逃げられた」



「っオサゲ!テメェ!まさかそれぽっちの飲みモンで人格が変わったとか言うんじゃねェだろうなァ?」



「え?なんのことですか?」



首を傾げるあたしに、ミクさんは舌打ちをし、




「変わった後に訊いても無駄か」



と。





「え!か、変わってる!?」



「で、でも待って!前はもっとこう、イカれた感じの、こうキチガイ染みた感じに変わってたはず…!」



距離を広げて対峙しているミクさんとあたしに、トラくんとリュウくんは慌てたように声をあげて、伊吹を見た。




「伊吹くん、どういうことこれ!」



「俺が知るわけないでしょ」

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