第43話

茶色の小瓶に赤いラベルの貼られたそれを、ミクさんは握り締め、あたしに近づく。



すっかり話の流れを把握していないあたしは、それをきょとんと見つめた。



眉間にシワを寄せたミクさんが、意を決したように顔を上げ、あたしと目を合わせる。






「おい」



「?、どうかしまし…、」



「コレ、オマエにやるから、飲め」



「なんですかコレ?」



「………、ただの飲み物だ。ただの」



「は、はぁ…」




渡されたそれを見ながらあたしはそう頷く。


やけに〝ただの〟を強調しているミクさんは、どこか緊張した様子であたしがどう動くかを見ている。





「おろなみん、しー?」



「あ、ああ。まァ、普通の炭酸飲料だと思え。つか、マジでただの飲みモンだから、変化とかすんなよマジで…」



「へんか?」



「ああ…、つかどうでもいいからさっさと飲め!」



「ひっ、は、はい!」

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