第41話

目が合ったミクさんは舌打ちをして、「あんな賭けしなきゃよかった」と呟いている。





「死んでも知りませんよ」



「うるせェ!弟は黙ってろ!」



「腕ぐらいは折られる覚悟で挑んだ方がいいと思います」



「だからうるっせェよ!俺をビビらせてェのかオイ!」



「ビビってるんですか」



「ビビってねェよ!喧嘩売ってんのか!?」



「ビビってるんですね」



強面さん達に腕を押さえられたままの伊吹が、ミクさんに冷やかに返している。



ミクさんは「どうやらテメェは姉同様に叩き直した方がいいみてェだなァ?」と、伊吹の胸倉を掴んでいた。



少し焦っている様子を見ると、ミクさんは珍しくビビっているらしい。




「ビビってるんじゃねェ!一人でってのが引っかかるんだよ!せめて、……そうだ!丸岡!オマエ手伝え!」



「え。嫌ッス。命惜しいッス」



「ハァ?!ふざけんな!テメェはオマエの命と、俺の命!どっちが大切なんだ!」



「っ無茶なこと聞かないでくださいよ!!」

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