第25話

リュウくんから飛ぶように距離を取り、彼女はリュウくんの背後を指さす。



リュウくんは振り返り、そして、はっとしたように、あたしを見た。




「その子、小野町クンの〝怖い顔〟、知らないんじゃない?」



「……、」



「怯えた目で見られちゃってるよ?小野町クン」



「……、うるさいナツキ」



「そんな顔続けてたら、み~んな、あの時みたいに離れて行っちゃうんじゃない?」



「もう口開かないで。消えて」



「わ~酷い。まーでも今は八依クンみたいなのもいるわけだし、小野町クンも多少安心して、」



「いいから!もう喋るなって言ってんだっ…、」




「はい、ストップ」





リュウくんが声を張り上げそうになった時、彼と彼女との間にトラくんが入った。



べしっ、とリュウくんの目元を遠慮なく叩いたトラくんに、


リュウくんは「っく~!」と、そこを手のひらで押さえて痛みに悶絶していた。

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