第23話

短く訊ねてくるリュウくんに、彼女は少し不満気に唇を閉じる。




「なんで俺だけじゃなく、ミクにも聞かせたいわけ」



「………、ま。いっか」




もうじらすことに飽きたのか、口を開き、彼女はリュウくんを見て、





「帰ってきたらしいよ」




と。






「サクラダシキが」



肩に近づき、そう言ってきた彼女に、リュウくんは目を見開く。


そんな表情は、初めて見た。


そんな、動揺した顔は、初めて見た。





「嘘つくな、だってアイツは……」



「出て来たんだって、ムショ」



「っ、」



「出て来て、〝ココ〟に帰ってきたんだって」





くすり、と笑い、彼女はリュウくんの肩から離れる。


そして、




「なんで知ってるのかって顔してるね?」



「……」



「言っておくけど嘘じゃないよ?」



「……」



「疑うんだったら、マツキタの情報屋さんに聞いてみれば?優秀なんでしょ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る