第22話

「寧ろ、」




愉快そうに口元を歪め、その指先を当てて、




「面白い情報教えてあげようと思ったのにぃ」




彼女は言うのだ。



思わず立ち止まってしまい、リュウくんは振り返る。



そんな彼に、彼女は目を細め、「あは」と笑った。



「やっぱり気になる?気になっちゃう感じ?」



「リュウ。いいから帰るぞ」



「いいの聞かなくて?」



トラくんがそれを遮ろうとしても、彼女がさらに語調を強める。





「小野町クンだけじゃなくて、これは八依クンにも、」



リュウくんは立ち止まったまま、あたしの腕を離した。





「聞かせたい話題なのになー」



「ナツキ」




リュウくんは向かう。



その足は、彼女との距離を縮める。



トラくんは眉を顰め、伊吹は訝しげにこちらに目を向けていた。





「いちいち人を挑発するクセ、やめた方が良い」



「……えぇー、そんなの小野町クンに言われたくないなぁ」



「で。なに」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る