第20話

「ああ、そかそか。やっぱりそっかー」



そして、一人で納得したように頷いている。



その唇が、先ほどから何を言い出すのか全く予想できない。





「小野町クン、高校、マツキタにしたんだー」



「………、」



「そっかー。それもそーだよねー。それしかなかったもんね~、あ!となるとー、」



少し目を見張るリュウくんの肩を、彼女はその赤いネイルのついた指で撫でると、







「八依三國クンも、いるんだね?」





続いた言葉に、リュウくんは思いっきりその手を振り払った。




びっくり、した。



だって、相手は女の子、だ。



リュウくんが、こんな風に、露骨に拒絶するところを、初めて見た。





「っ、」



「あはっ、気づいた?」



「ナツキ…?」



「おっそいよ~。オンナノコに優しい小野町クンなら、すぐに気づいてくれると思ってたのにぃ~」



人差し指を立て、その先をくるくると回す彼女。

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