第5話

「じゃ、俺ビール」


「俺はジンジャエエエエエエエルッ!」


「なァに急に歌ってんだよ。…あ、俺なっつあんで」


「小岩井の純粋ぶどう」


「梅酒」


「いろはすみかーん」



「うるせえうるせえうるっせえええええええ!まだ、勝負は決まってねえだろ!?つーかどこまで買いに行かせる気だよ!?自販機だろ!?なんで酒も入ってんだ!!」



「あー、でもアレだ。コノエちゃんは見た目でストップかけられちゃうな。見た目で」



「裏門にある『みちはた』なら買えるっしょ。あそこのウメおばちゃんなら、ギリギリコノエでも売ってくれるはず」



「ウメおばちゃん、この前小学生にハイボールすすめそうになってたからな。さすがの俺っちも止めたよ」



「最近メガネ買い換えたのが原因じゃね?きっと見えづらいのよ」



「ああ~なる~。それなら納得いくー」



わちゃわちゃと話している彼らは、ここによくいる強面さんたちである。



円を描くように座っているあたし達は、『負けたらジュースを買いに行く』という罰ゲーム付きのババ抜きをしていた。

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