第88話

重い荷物を抱え、

階段を上り部屋を目指す



行きはあんなに軽く感じたのに、

帰りはやたらと重く感じる。



息切れをしながら部屋の前に着いた時、

ドアの前に散らばっている“ある物”を見て、

その上に持っていた荷物を勢いよく落としマンションを飛び出た。



マンションにいるのが怖くて近くのコンビニに駆け込み、

震える手で優に電話をかける。


この時かなり青ざめた顔をしていたことだろう。



♪プルルルルル♪




『どないしたん?』



『優…今どこ??』



『まだ美嘉んちの近くにおるで』



『お願い!戻って来て欲しいの!お願い…今近くのコンビニにいるから』



『すぐ行くわ!』




しばらくしてコンビニの外でクラクションが鳴ったので走って外に出ると


車の前には優が立っていた。




「何があったん?」



「あの…部屋…とりあえず一緒に部屋の前に来て!!」



優を先頭に、

再び部屋の前へと向かう




「あの荷物の下見て…」


ドアの前にはさっき美嘉があせって床に投げた荷物がそのままの状態で落ちている。



優はその荷物をゆっくり持ち上げ、

荷物の下にあった物を見て呟いた。




「これ…何やねん」

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