第78話

【みんながずっとずっとずーっと幸せでありますように・・・】



心の中で流れ星に願う。強く願う。





冷えた体に、

温かい手が心地よい。



体がだんだんと、

熱を増す。



しかし優の手は、

突然動きを止めてしまった。



焦る気持ち。

溢れる不安。




「優…??」



不安げな表情の美嘉の手を強く握る優。



嫌な沈黙。

波の音だけが

響いている…。



優は低くかすれた声で

沈黙を破った。




「…出来へんねん」





出来ない?

なんで??



頭の中で嫌な妄想がぐるぐると駆け巡る。



さっき一つの恋の終わりを見てしまったから

余計に…。





“なんで??”


口に出して聞くのが

怖い。


傷つくような

気がするから…。




…傷つきたくないために逃げる自分、

全然成長してないな。



長い沈黙に、

胸の鼓動が体中に

響き渡っている。




優は髪の毛をやさしく何度も撫で


耳たぶの近くに顔を寄せ小さく呟いた。




「俺もしたいけどな、用意とかしてへんから…ごめんな。」





優の吐息に

めまいがする。



それでも優が言った言葉の意味を考えてみた。

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