第72話

大好きな人と一緒にいるのに、

自分のことを見てくれていない。



そんなの、

寂しすぎるよね…。




頭の中で、

アヤがケンちゃんと笑っている姿を思い出していた。



二人で手を繋いで歩いている姿だとか、

アヤが幸せそうにケンちゃんの話をしている顔だとか…。




そんなことを考えているうちに、

なぜか涙が溢れて来た。



自分が失恋したわけじゃないのに…



どうしてだろう。


それくらい悲しい。




仲良しだった二人が突然離れる瞬間を見て、


“恋”ってはかないものなんだと感じた。





アヤと自分を重ね合わせてしまった部分もある。




今隣にいる優も、

いつかは離れてゆくのかもしれない。



もしくは、

美嘉から離れてゆくのかもしれない。




手で顔を覆いながら泣いた。





“永遠”


ってこの世に存在しないのかな??



わからない…。




こんなに辛くてもこんなに悲しくても、

これが“青春”だったと笑って言える日は本当に来ますか…??




優は何も言わずに手を握っていてくれた。

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