第71話

アヤをテントまで運び、

寝袋に寝かせた。



イズミとウタは遊び疲れたのか、

すでに寝てしまっている



ウタいびきうるさいし…。



テントを出て行こうとすると、

アヤは美嘉の手をがしっと掴み背を向けながら言った。




「美嘉…美嘉は優さんと幸せになってね。じゃないと承知しないから!」


ゆっくりと掴んだ腕が離れる。


美嘉は何も言わないまま優が待つ海へ走った。







「美嘉おかえり。」


優の横に座り、

そのまま砂浜に寝そべって星を見た。




ケンちゃんは、

アヤがノゾムと別れてから初めての彼氏だった。



ノゾムと別れてから元気なかったアヤを、

ケンちゃんが笑顔にしてくれてたんだよ。



つい最近までラブラブしてたじゃん。



今日だって手繋いで幸せそうに歩いてたじゃん…



ずっとずっとミドリさんが好きだったなんて、

そんなのひどすぎるよ。




ケンちゃんとミドリさんは前から両思いだったんだ。


アヤはそれを知っててずっと…。



ミドリさんがケンちゃんのことを好きって聞いた時、

昔の自分と重ねて

同情した。




元彼に彼女が出来て、

それを見るのは辛いだろうなって…。




でも一番辛かったのはアヤだったんだね…。

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