第70話

「アヤ…ケンちゃんともう一回話してみなよ!!好きならちゃんと話して気持ち伝えなよ!!」



両手でアヤの肩を掴み、

体を揺らす。




アヤはゆっくりと顔を上げた。


たくさん泣いたのか、

ポッコリ腫れている目。



「もうダメなんだぁ…さっきフラれちゃったぁ。やっぱりミドリさんが好きなんだってぇ…」




美嘉は何も言えずに肩を掴んだ手を離し、

ペタリと座り込んだ。






アヤとケンちゃんが別れた…??


だってあんなに最近までラブラブだったのに…




そーっと手を伸ばして

アヤの頭を撫でてみた。



手で涙を拭くアヤ。

星を見つめている。





「美嘉勝手に携帯見てごめんね。あとさっき携帯ぶつけちゃってごめん…美嘉悪くないよね…」




そして星を見上げた目から、

再びポロポロと涙が溢れ出た。




何も言ってあげられることも出来ずに、

ただアヤの体をぎゅっと抱きしめることしか出来なかった。




「アヤ…辛かったね…苦しかったね…」





アヤは声を出して泣き叫んだ。



我慢していたものが全て溢れたかのように…





そして落ち着いた頃に、少し笑いながら呟いた。




「これも“青春”の1ページなのかなぁ…。」

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