平成を駆け抜けたWEB小説の先駆け作品。

美嘉さん、私は懺悔をしなくてはいけません。
私が中学生だった頃に『恋空』が全国で流行っていてあの当時の私は極度の潔癖症で恋空に馴染めませんでした。
しかし、当時の同級生が貪るように読んでいた光景は今でも焼き付けています。すごいフィーバーでした。もう、小説が10代の少女にあんなに夢中になるなんてこれから先、あるのだろうか、と思うくらい、すごかったですね。
私は高校生の頃、閉鎖病棟に入院したり、自殺未遂を繰り返したり、高校中退したりして、ある意味、主人公のように酷い目に遭いました。
あの頃、散々大人たちはメンタルを病んだ女の子たちをケータイ小説のよう、と揶揄したけど本当は居場所がない女の子たちは思いのほか、いるんです。たぶん、『恋空』はそういう孤独な女の子たちの居場所だったのでしょう。
今、ウェブ小説は転換期にいます。芥川賞作家の市川沙央さんは芥川賞を受賞する前、カクヨムで小説を発表していました。そのウェブ小説の先駆けは紛れもない『恋空』だったと言えます。
今、『恋空』の映画を見ると亡き三浦春馬さんの面影が辛くも美しいです。平成という時代を駆け抜けた本作は確かに平成時代に青春時代を送った私にも響きます。