第79話

夜中の二時。



いつもなら

寝ている時間。



居間から聞こえる話し声で目が覚めた。



お父さんとお母さん

こんな夜中に

何話してるの??



そっと

居間のドアを開く。






!?!?


ヒロがいる。



夢…?



ほっぺをつねってみた。痛い。

夢じゃない。




明るい茶髪も黒く染められていて、

いつも耳にたくさんつけているシルバーピアスは一つもない。



だけどあの後ろ姿は…

ヒロだ。



なんでこんな夜中

にヒロがいるの?




ヒロは正座をして

お父さんとお母さんに向かって頭を下げている。






「お願いします」



三人の会話に

そっと耳をすませた。




「反対だ。」



厳しい顔で答える

お父さん。



「必ず幸せにします。産んで欲しいんです」



「毎日来ても、反対の気持ちは変わらない」



「本気です。頑張って働くのでお願いします…」



お母さんが頭を下げるヒロを見て

困った顔をしている。



お父さんは変わらず

厳しい表情。



「今美嘉に学校やめさせるわけにはいかない。弘樹君の親もそうだろう」



「明日もあさってもいいって言われるまで俺は毎日ここに来ます」

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