第78話

お父さんは黙り続け、

それ以上言葉を発することはなかった。





肩を落とし、

二人はため息をつきながら部屋へと戻る。



「とりあえず今日は帰るな」



「ごめんね…」



「俺はぜってぇ諦めねーよ。赤ちゃん産ませてみせる。美嘉もそれぐらいの決意あるよな?」



「…うん!!」



「じゃあな!」



ヒロは一旦玄関のドアを開けたが

何かを思い出したように足を止め戻って来る。



「どしたの??」



「忘れ物した」



玄関の回りを見渡すヒロ


親がいないのを確認して美嘉の頭の後ろに手を回し顔を引き寄せ

唇にキスをして帰って行った。





次の日

つわりが悪化。

学校を休もうと思いヒロにメールを送る。



《グアイワルイヨォ↓》



《ガッコウヤスムネ!》


結局返事は

来なかった。






それから三日間

学校を休んだ。




体重は4㎏減…。



痩せた理由は

つわりで食欲がなかったせいもある。



それともう一つ。




もう四日も

ヒロからの連絡がない。



メールをしても返事は来ないし、

電話をしても留守番電話ばかり。




赤ちゃん産むこと反対されたから

呆れられちゃったのかな…。

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