第80話
走って部屋に戻り、
ベッドに飛び込んだ。
ヒロは…
ヒロは毎日家に来て赤ちゃんを産むことをお父さんとお母さんに頼んでくれてたんだ。
だから連絡する暇なかったの??
人に頭下げるのが大嫌いなヒロが、
ピアスをはずして髪も黒くして…
お願いしてた。
寝ながらお腹に両手を当てて
強く強く誓う。
「絶対ヒロとの赤ちゃん産んでみせるよ…」
しばらくたって、
玄関からドアが開く音が聞こえた。
「おじゃましました」
ヒロが
家を出たみたい。
窓の外には、
ヒロの後ろ姿が見える。
「…ヒロー!!」
窓を開けて大声で叫ぶとヒロは振り返り手を振りながら窓のほうに向かって走ってきた。
「調子大丈夫か?連絡できなくてごめんな」
白い息を吐きながら
心配するヒロ。
「髪染めたの??」
ヒロの黒髪に
手を伸ばす。
「あぁ~イメチェン。似合うか?」
「似合うよ!ヒロ、なんでここにいるの??」
本当は知っている。
だけどわざと知らないフリをしてみた。
「この近くにダチいるから。今そいつと遊んでた…偶然だな」
ヒロの嘘つき。
全部知ってるんだから…
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