第68話

ドアの向こうの廊下から聞こえる笑い声で、

閉じていた目を開く。



いつの間にかグラウンドには誰一人いなくなり、部活動を終えた生徒が

教室に着替えに来る時間…。




「…ヒロ、誰か来ちゃう!!やばいよぉ」



ボタンがはずれてはだけてしまっている制服のYシャツをもとに戻し

焦って体を起こす美嘉。



「大きい声出したら聞こえるかもな。美嘉声出すなよ?」



ヒロは意地悪な顔でそう言うと、

再び美嘉の体を倒し首元に唇をなぞらせた。




ヒロの意地悪…


気持ちいい。

だけど声を出したらバレてしまう…。

声が出そうになると、

ヒロはキスをしながら美嘉の口を塞いだ。




二人はそのまま図書室で愛し合った。



放課後の

図書室で…。




一つになった時、

涙が流れ出た。



「なんで…

泣いてんの?」



心配そうなヒロ。



「幸せすぎて…」




ヒロの腕を

ぎゅっと掴む美嘉。




「バーカ!泣き虫美嘉」




顔を見合わせて、

照れくさそうに

微笑む二人。






生のヒロは温かくて…

ずっと一緒にいたい。

そう思った。



好きだから

嫉妬したんだよね??




幸せで泣いたの

初めてだよ…。

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