第64話

ヒロは美嘉の頭をポンッと軽く叩き、

美嘉にしか聞こえないような声で言った。



「今日放課後図書室で待ってっから。来るまで待ってるからな」



そう言い残し

教室から出て行く。



涙目のハルナがこっちに

向かって来る。



「美嘉、アヤごめんね…」




「…どうする?!」



腕を組みながら美嘉の返事を待つアヤ。



「…もういいよ美嘉も悪いしみんな仲直りって事で!!」



「ありがとう…」



“ヒロ親衛隊”の三人はペコリと頭を下げてそそくさと去って行った。



嵐はやっと

過ぎ去る。





放課後になり、

図書室へ向かう。



図書室の前。

今日の昼休みのヒロを思い出すと笑みがこぼれてしまう。



真顔に戻しゆっくりとドアを開けた。




ヒロはいない。




「…ヒロ??」



とても不安な気持ちに

襲われた。




その時…



「美嘉~!来てくれたんだな!」



ヒロは驚かそうとしたのか本棚の横から飛び出し抱き付いてきた。



「ヒロ…今日はありがとうね」



ビックリしながらも

小さくお礼を言う。



「好きな女が傷つけられたら助けるのが普通だから気にすんな!」


ヒロは照れた表情で笑っていた。

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