第62話

「ありえないし…」



教室のドアを軽く蹴り、自分のクラスの黒板だけを消して、

後はそのままにしておくことにした。



今から全クラスを消すのは無理。




授業が始まるとポケットで震え続けるPHS。



休み時間になれば非通知の電話。



好奇心か、

教室まで美嘉の顔を見に来る人までいる。



届くメールの内容は、



《ヤラセロ》


《ナグサメテアゲル》


そんなのばかり。

欲望の塊だ。




「ハルナ達消えろ!」



「教室に来るやつらも暇人だね。気にしたらダメだよ!」



慰めてくれているアヤとユカをよそに考えていた。



全クラスに書いてあったってことはヒロも見たよね…

どう思ったかな?

美嘉が書いたと思ったかな??




昼休みになって相変わらず鳴り響くPHSと、

冷やかしの男達をよそに美嘉とアヤとユカはお弁当を食べ始めた。



バンッ



教室のドアが乱暴に開く音で

お弁当を食べる手を止める。



みんなの視線がドアのほうに集まる。



…ヒロだ。



ヒロが教室に入って美嘉のほうに近寄り、

息切れをしながら言った



「電話繋がらねーし…何があったんだよ。この騒ぎはよ?」




「別に…」

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