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敵の弓矢が一斉に放たれた。たかが弓矢と思われるかもしれないが、この世界には、魔法のような召喚士による不思議な力が存在する。本来、この力はルクスエリオス王国の女性召喚士だけが使うものなんだけど、現在は帝国に支配されているアークヴァレーにおいては、帝国軍の弓にその力を込める召喚士が強制的に協力させられていた。そのため、弓矢の一撃は戦闘機にとっても脅威となるのだ。


僕はその弓矢を紙一重でかわしながら、目標に到達し、精密な射撃を放った。その瞬間、敵の隊列には混乱が広がり、秩序が崩壊していくのが見て取れた。その混乱の中で、王国軍は素早く動き、反撃の突破口を作り出していた。


戦場の風は、僕たちの方に吹き始めていた。


王国軍が帝国を押し返しているのを確認すると、僕は操縦桿をしっかりと握りしめ、再び急降下を開始した。ファルコンは鋭く風を切り裂き、帝国軍の編隊の中心に向かって一直線に突進する。敵が反応する暇もなく、即座に一撃を加えた。爆発音が響き渡り、この攻撃で王国軍の勢いを強めるのに貢献することができた。


急降下からファルコンを引き上げ、混乱に満ちた戦場を見渡した。


さっき説明し忘れたけど、普通なら音速を超える戦闘機から地上の様子を識別することはできない。だけど、召喚士の加護を受けたファルコンの特殊な視覚機能によって、まるでズームカメラのように地上の状況が鮮明に見えるのだった。


その時、僕の目に映ったのは、ミレイアの姿だった。彼女は敵の圧倒的な勢力に囲まれながらも、卓越した技と揺るぎない決意で戦い続けていた。彼女が両腕に握った二本の剣が閃くたびに、次々と敵兵が地に倒れていく。その光景に、僕は思わず胸が熱くなる。ミレイアの周囲では、確実に戦況が変わり始めていた。帝国兵は彼女の猛攻に耐えきれず、徐々に後退し始めている。希望の光が、わずかながらも見え始めた。


しかし、その希望が胸に広がる中、僕の視線は自然と戦場の後方に立つルクスエリオス王国女王、エリシアへと引き寄せられた。彼女は戦いの嵐の中でも動じることなく、冷静に戦況を見守っていた。彼女の周りには淡い召喚力の輝きが漂い、その存在感は兵士たちにとって揺るぎない支えとなっていた。彼女がそこにいるだけで、王国軍の士気は保たれ、戦略の道筋が明確になっていく。エリシアの力が戦場全体に波及し、王国軍の攻勢を後押ししているのを感じた。


僕の攻撃で生まれた突破口を利用し、王国軍は勢いを増して反撃を開始していた。戦況は少しずつ、しかし確実にこちらの有利へと傾きつつあった。しかし、その瞬間、僕は自分の甘さを思い知らされることになる。

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