第3章 家の床に宝石が埋まっていた件について
第3章-1話 昔、私がツルハシと初めて出会った頃
石が光っている?
穴ぼこの空いた床がキラキラと何だか輝いていた。
星のじゅうたんのようだった。
階段状に掘れていてその上に輝くじゅうたん、豪華な家になってしまったようだった。
月明かりが当たりづらいので、どんな石かを確認するのは難しかった。
「掘ってみようか。」
ワクワクしていた。掘ってみようとツルハシを握った瞬間、私はまた現世での採掘士であった自分を思い出した。
初めてツルハシを買った時を思い出した。
おこづかいを貯めて、五千円を財布に入れてホームセンターまで買いに行った。
握り心地を考えて、色んなツルハシがあったが握り比べてみた。
これがいいと満足のいくツルハシを選べた。
五千円で買って文字通りお釣りが返ってくるくらいの買い物だった。
そのまま私は採石場におもむいた。
初めて採掘現場で握ったあの時、私はそのツルハシで固い土をその手がときめき始めた。
そう私は岩場という土地と硬質で冷ややかなクールデザインな鉄のツルハシが出会って、恋をした。
そんな採掘ラブストーリーを思いついた。
ふと我に帰る。
「よし掘ってみよう。何が出るかな。」
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