第2章-8話 目指せツルハシマスター
何だろうこのブロックは?
目線の先では床の色が黒ずんでいた。カビだろうか。
臭いをかいでみる。いやこれは違うな。
ただの土や石ではないのは確かだ。無香である。
とりあえず『木のツルハシ』で叩いてみた。
ポコポコポコッ
すると叩いている途中で…。
ガシャンッ
私の『木のツルハシ』がポッキリと折れた。
私は涙が溢れた。
今日、作ったばかりで家づくりに熱を入れて使っていたのだ。
愛着があった、これは悲しい。
そして壊れた『木のツルハシ』はその残骸ごと消えてしまった。
消えていった後には、私はその残骸の消えていった床に触れて悲しがった。
消耗値というのがどうやらあるらしい。
【消耗値について;アイテムによれば消耗値というものがあります。
装備アイテムである防具や採掘に使うピッケルやフィールドワークに使う斧やクワや生物と戦うための攻撃道具である剣には消耗値がついていて、消耗ゲージがつきると折れてしまいます。一度壊れてしまった物は消滅してしまい、二度と使えません。】
「気を取り直すか…」
また新しい『木のツルハシ』を作ろうかと思った。でもまた壊れてしまうかもしれない。
私はその悲しみでツルハシを作れなかった。
壊れないツルハシ。そんなものがあればな。
現世で私は上等なツルハシを作っていた。
頭部の一方が尖っており他の一方が平刃のものを使っていた。
これを正式名称で鉄道鶴嘴(てつどうつるはし)と呼ぶ。
オーソドックスではあるが、頭部の張り出しが片側にしかない形状のものである片鶴嘴(かたつるはし)より格好がいいと思う。
「現世にあるツルハシがあればな…」
せめて何か硬いツルハシがないのだろうか。
「『レシピ』を見れば何かあるかもな。」
『石のツルハシ』を私の眼に入った。
その下には『鉄のツルハシ』・『金のツルハシ』・『ダイヤモンドのツルハシ』があった。
「『ダイヤモンドのツルハシ』だと…」
思わず息を飲んだ。
名採掘士の中でも最上物だろう。いつかこれを作り上げてみようと私は心に誓った。
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