第1章-2話 石の上にも三年生

化学の授業で周期律表を見てニヤニヤしている。


そういえば、今レアメタルの単価が上がっている。


チタンやニッケルやコバルトと、EV事業や半導体事業と需要はうなぎ登りだ。


そんな中でも、やはり金属で一番好きなのが、


” Au ”つまりは” 金 ”だ。


半導体事業では集積回路の一番要にある金属だ。展性・延性も合って加工もし易い。


これだけ誰からも愛される金属はないだろう。


次の授業では美術の時間、金の延べ棒を色鉛筆でスケッチしていた。


金のそのままの色鉛筆は使わない黄色系統の色鉛筆を使い分けて、描いていた。


そこで美術の先生から言われた。


「芸術の授業なのに実価値のある物しか書けないの?」


「御言葉ですが、金には芸術性があると思っています。」


「不思議な子ね。そんなお金が好きなら、稼げるようになればいいわね」


と、皮肉で返事をされた。


周りのクラスメイトからもよく解らないという顔をされた。


貴金属である。この金と私の価値を理解できていいなのであろう。


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