第5話 滅ぼされる確率
「ダストン!まずいぞ!ブレスがそこまで来てる!」リーチが叫ぶ。
リーチの焦り方は半端じゃない。ブレスがかなり離れた距離でも、この調子だ。
緊急事態が起こることは山ほどある。俺達の船でもそうだが、他の船でもざらにある。現に俺の友達の船も、奴らに破壊されている。命は助かってはいるが、その時の恐怖のせいで、二度と船に乗ることはなかった。
そういう奴もいたりするなか、うちの船はその危機をくぐり抜けてきた。船の性能や、クルーの働きぶりが良いのもあるが、皆さん忘れてはいませんか?どの船にもない、貴重な機能がうちの船にはある。そう、俺だ。
ミーゴブレスは色んな所で発生する。そうなってくると、ミーゴブレス同士もバッティングすることもある。奴らは仲間同士ではお互いの力を、抑え込む傾向がある。それならミーゴブレスである俺の左腕でも同じことが起こるはず。それに気づいたのは、親父の掃除屋の仕事に、見習いで付いて行っていた時に親父が、俺の左腕が奴らに同調していることに気付いた。俺が腕をかざすと、奴らは渦を巻くように静かに暴走を止める。それはまるで、海で大量のイワシが群れをなして泳ぐ様の光景に似ている。
この左腕の力で俺は早い出世につながった訳だが、若すぎるゆえの未熟さや、知識の乏しさなどは、リーチやキーホや仲間のクルーに頼りっぱなしだ。でもその分、俺の力でクルー全員に危険は及ばせない。俺がいる限り、この船が壊滅する確率はゼロだ。
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