第2話 ランク昇格クエスト
アリスが依頼書に目を通して、その中の1つを手に取って受付嬢の所まで持って行く。
「僕達はこのクエストを受けます。」
「はい。緑龍の討伐ですね…承りました。」
「「「「「!!!」」」」」
周りがザワザワと騒がしくなっていく。それもそうだろう。緑龍とはいえ、龍種の討伐が受注されたのだ。
龍種とは様々な分類があり、そして未だに全ては解明できていない。
龍種は基本的に下から緑龍、赤龍、青龍と強さによって色が変わる。
緑龍は龍種の中では最弱ではある。けれどそれでも龍種だ。街に下りてきたら間違いなく街は壊滅するレベルだ。 普通の人間では太刀打ちできない。
「おい、グレン聞いたか?緑龍の討伐だってよ。」
「あぁ、聞こえたよ。やべーな。」
彼女達がこのクエストを受ける理由は恐らくランクアップだろう。
ランクを上げる方法はシンプルだ。
自分と同等のランクのクエストを10回受けて達成することだ。すると1つ上のランク昇格クエストが受けられる様になる。
今回のランク昇格クエストは、緑龍の討伐である。緑龍の討伐の推定ランクは7だ。
そしてこの街ではランク残念ながら居ない。ランク8は国から見ても1、2パーティ程しか居ない。それ程までに貴重な戦力だ。
だからと言って俺がランク7や8と関わることは無さそうだから、俺はスピナーに向かって・・・
「まぁ、俺には関係無い話だ。じゃ、クエスト行ってくる。」
するとスピナーも・・・
「だよな〜。俺も呼び止めて悪かったな!場所はヘイル森林だっけ?」
「あぁ、そこで合ってるぞ」
「そうか〜、まぁ気をつけて行ってこいよ!」
そして俺は冒険者ギルドを出た。
・・・しばらくするとスピナーが思い出した様に…
「あれ? そういえばヘイル森林って緑龍の討伐場所のロイア山脈と大分近いよな?」
スピナーはしばらくうーんと唸っていたが
「まぁ、大丈夫だろ!」
そう言ってコップの中の水を飲む。
・・・・・
「ふぃ〜、やっと着いたぁ」
しばらく歩くとヘイル森林についた。俺は一瞬歩みを止めてしまう。
「……いつもと違う気がするな」
ただなんとなくそう思った。
それはこの森自体がおかしいのか。それともここら一体がおかしいのか。そこまでは分からない。
・・・ただ確かに何かが起こると思った。
「……まぁ最悪逃げれば良いか」
そう言って鼻で笑い、俺は森に入って行った。
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「……やっぱり、少しおかしいな」
しばらく森の中を散策してもオークが一匹も見当たらない。
「はぁ、もう少しだけ探して見るか」
俺はため息をついてもう少しだけ探すことにする。
「ん? なんだ……?」
▲▲
「みんな、もう少しで緑龍の所に着くよ。」
僕たちのパーティ、月の雫は緑龍の討伐のためロイア山脈へ向かっている。
パーティの仲間達もみんな仲が良い。
「アリス〜、おんぶして〜」
「ちょっとリズ!! もう少しなんだから頑張って下さい!」
「カーラはいつもうるさい。小言ばっかり言ってると、胸がもっと小さくなる。」
「私は!! 平均的です! リズが異常なんです!! アリスもおんぶしなくて良いですから!」
2人はいつもこうやってじゃれあっている。 僕はいつもこの光景を微笑ましく思う。
そうして見ていると、リズが少し嫌悪感のある表情で言った。
「ギルドの男連中……また私達のこと見てた。」
「確かに……あの遠慮のないな視線はとても不快
ですね」
カーラも嫌そうな顔で眉を顰めて同意していた。僕も同意だ。
男達のあの体を舐め回す様な気持ち悪い視線は吐き気を催す程だ。
このパーティは、みんな顔も整っている。同性の僕から見てもとても魅力的だ。
けれど容姿が整っていても、良いことだけと言うこともない。
男達からは気持ちの悪い視線をぶつけられるし、下心丸出しの商人からも食事に誘われる。
最初の方は女性だけのパーティといった所もあり、男連中からも良く絡まれていた。
ま、全部撃退したけどね!
今は絡まれることも無くなったけど、あの視線だけはずっと慣れない。
本当に気持ちが悪い。
だから僕たちは男性が好きじゃない。むしろ嫌いな方だ。
そんなことを考えていると偵察に行っていたステラが戻ってきた。
「緑龍はロイア山脈にいたよ。けど・・・」
「けど?」
「動きが少しおかしいんだ。辺り一面の魔物を捕食
してたよ。」
「それは••••確かに妙ですね」
カーラが言う様に少し妙だ。龍種は賢いから、自分の縄張りの生態系を無闇に荒らしたりしない。
それこそ強大な何かが近づかない限りは。
「うん、まるで一刻も早く魔力を得ようとしてるみたいだったよ」
「うーん」
僕はしばらく悩んだが、最終的にみんなの意見を聞くことにした。
「みんなはどうするべきだと思う?このまま進む?
それとも1度引き返す?」
しばらくみんな考え込んでいたが、カーラが意見を出した。
「私は、このまま進んだ方が良いと思います。万が一にも緑龍が赤龍になってしまえば到底私達の手には負えません」
「それは……確かにそうだね」
あの街には僕たち以外にランク7はいない。そしてその僕たちが勝てない。それの意味は、赤龍に進化するとあの街は確実に壊滅する。
ならば早めに手を打つべきだろう。
「私も同意」
「うん、私も同じ意見だね」
リズとステラの意見も一緒みたいだ。
「決まりだね」
僕は意見が纏まったことを確認してパーティ全員で
緑龍の所へ向かう。
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