普通に暮らす俺は正体がバレたくない
クククランダ
第1話 平和な日々
この街で暮らし始めてから3年が経った。手に職もつけてそれなりに楽しい生活だ。
今はソロの冒険者として活動しており、決して弱くはないが、かと言って注目を集める程に強い訳ではない。まぁ中堅辺りのランクにいる。
冒険者は基本的にパーティを組むが、ソロの冒険者も一定数いるので俺が目立つことはない。
なんて素晴らしい日々なのだろうか! 俺は今日も普通に日々を送れることに感謝しながらアフタヌーンティーと洒落込むことにした。
=========
今日も泊まっている宿から窓を開けて朝から元気に遊んでいる子供達を見てつぶやいた。
「今日も平和だなぁ〜」
面倒なこともなく好きな時間に起きて、生活をする。普通の冒険者としてとても良い日々を送っている。
今日も適当な依頼を受ける為に身支度をして宿の階段を降りる。
ちなみに今俺が泊まっている宿は、部屋は普通だが飯が美味い。飯が美味いのはとても良いことだよな。
「あ!お兄ちゃんだ!」
考え込んでる間に宿屋の1人娘レーナが駆け寄ってくる。
「お〜レーナは父ちゃんの手伝いか?」
「うん、そうだよ!」
レーナは15歳でとても人懐っこい赤髪の三つ編みの女の子だ。
あと凄い元気が良い。
「おう!起きたかグレン!」
俺の名前を呼んだのは店主のゴードン。
身長は2メートルくらいあり、スキンヘッドのオッサンだ。
顔も盗賊のお頭みたいな顔をしており、身長も相まってスッゲー怖い。
なんで目力だけで人を殺せそうな人からあんな優しそうな子が生まれたのか。
突然変異だろうか? 本当に世界は不思議である。そんなことを考えながら俺はテーブルにつく。
「グレン、注文はいつものか?」
「あぁ、いつもので頼む」
俺はいつもと同じ注文をしてテーブルに着く。
俺が起きる時間はあまり人がいない。
朝と言っても昼に近いからみんなどこかに出掛けてることが多いんだよなー。
少し待っているといつもの様にレーナが寄ってきて隣に座って来て話しかけてくる。
「ねぇねぇ、今日は何するの?」
「今日は普通にギルドに行ってクエスト受けようと思ってるな」
「頑張ってね! 無理しちゃ駄目だよ!」
「あぁ、程よく頑張るさ」
レーナはとても良い子だなぁ。俺は飯を待ちながらレーナと会話していると飯を作ってるゴードンさんの目がやばいことに気づく。
それはもう確実に何人か殺ってそうな目で俺を見てくる。嫉妬かな? でもその目は怖いのでやめて欲しいです……
==========
・・・ゴードンさんの目がやばすぎて今日の飯はあんまり味がしなかった気がする。
つーか生きた心地がしなかった。
そんなこんなで俺は宿屋を出て冒険者ギルドに向かって行く。
「相変わらずでけーな」
ギルドに着き、そんなことを言いながら俺は冒険者ギルドに中に入って依頼書のある掲示板に向かう。
「んー今回はこれにするか」
そして受付嬢に依頼を見せて、ギルドを出ようすると
「おぉー!グレンじゃねーか!!」
俺の名前を呼んだのはスピナー。俺と同じソロの冒険者でランクは5。
灰色の短髪にワイルドな容姿、気さくな性格だから皆んなからも好かれている。
ソロでのランク5は中々見かけない。
ランクは基本的に1、2が駆け出しと呼ばれており、全部で1から10まである。ランクが5もあれば意外と贅沢ができる。
基本的なランクはパーティを組んで依頼を達成した方が上がりやすい。そこをこいつは1人で5になってるからパーティを組めばランク6になれるだろうな。
俺のランク? 4ですけど? それでも冒険者としては普通のランクだぞ?
「グレンは今から依頼か?」
「おう、今からオークの討伐だ」
俺は依頼書をスピナーに見せた。
「オークかぁ、あいつら無駄に賢いからなぁ」
スピナーは嫌そうな顔でため息をついていた。俺もそれは思う。 あいつらでかい図体でやることが小賢しいんだよなぁ。
「まぁグレンなら大丈夫だろ? 頑張れよ!」
そう言いながらスピナーは依頼書を俺に返した。
俺は依頼書を受け取る時にいつも思ってる疑問をスピナーに言ってみた。
「いつも思うんだがスピナーはなんでパーティを組まないんだ?」
するとスピナーは遠い目をして•••
「あー、俺は1人の方が気楽で良いんだよな。人間関係のトラブルとかダルイし。」
なるほど。彼は過去に何かあったんだろうな。深くは聞かないでおくことにしよう。
そうして頷いていたらスピナーが話しかけてきた。
「おいグレン見てみろ。噂のパーティが来たぜ。」
そしてギルドに入ってきたパーティは女性4名だけで構成された”月の雫”と呼ばれるパーティだ。容姿も整っていて、ランクも7である。
紛れもない天才の集団だ。
けれど彼女らは性格に少し難がある。
彼女らは女性には優しいが、男性には当たりが強い。
なぜかは分からないがそれはもう凄い当たりが強い。
彼女達は1ヶ月前にこの街に来たがその時から態度は変わっていない。彼女らのパーティは剣士、斥候、魔導士、僧侶のバランスが良いタイプのパーティだ。
俺の知り合いにはバランスが悪いパーティもいる。なんと3人全員が斧使い。攻撃力に全てをかけている様なパーティだ。
ポーションなどの回復の
「ダメージを負うなら更に体を鍛える!!」って言っていた。
全員がガチムチの究極の脳筋パーティだ。
話が逸れてしまったが銀髪の王子みたいな奴がアリス、赤い髪の獣人がステラ、黒髪の魔女みたいな格好の奴がカーラ、眠そうな目のエルフがリズだ。
俺の知り合いにもあのパーティバランスの良さを見習って欲しいものだな。
と言っても俺があいつらと関わることはないだろう。第一あいつらは男が嫌いだ。話しかけに行ってもどうせ冷たくあしらわれて終わるだけだ。
この時の俺はそう思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます