第21話

「違います」


「そんなにみんなに優しくされたい?」


「そういうわけではなくて、協力したいし、できることはやりたいんです」


「はぁ…金井くんは、同情されてモテたいってことでしょ」


「…いいえ」


「そうとしか思えない。わざわざ自分はなにもできないのをアピール?そんなに構ってほしい?」


「そうじゃないです」


「金井くん、無理しないでいいから勉強だけしてなさい」


「嫌です」


「あの、山田先生」


…この先生、体育の先生かな?ジャージ着てるし。勝手に会話に入ってきた。


「体育に一度も出てない生徒の、勉強のできる金井くん?山田先生からは病気だと聞いて…」


「金井です。あの、俺は足が悪いので、運動はできません。なので、体育の時は記録とかやらせて下さい」


精一杯お辞儀をした。


「なに?それなら最初から言ってくれたらいいのに」


「いや…山田先生に言ったら授業出ないでいいと言われて、そのままでした。すみません」


「体調壊して休んだり、通院してるんですよ?そんな生徒…」


「金井、やりたいならやれ」


「やらせて下さい」


「ですが先生」


「山田先生は怪我したことないんですか?金井は運動が好きなんだろう?」


「はい!…小学生の時、事故に遭う前はサッカーが好きで…」


「そうか。他の先生にも伝えておくからな」


先生は元気よく、職員室を出て行った。


「山田先生、まだ話してなかったんですね」

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