第19話
「今このクラスにいる人たちは、ほとんど1年から同じです。ですが、話してないことがあったので、話しておきたいと思って。体育を休んでいるのは持病だと言ってはぐらかしていましたが、実は片足が義足で運動ができないからです」
クラスがざわざわとした。担任の山田は知ってるはずだが、素知らぬ顔。
「小学生の時に事故に遭って、切断しました。運動用の義足にするにはお金もかかるし、リハビリも必要なので勉強に時間を充てるために普通の義足です。体育はできないけど、記録とか…体育祭の進行とか手伝いとか、できることはやりたいです。こんな俺だけど、それでも構いませんか?」
「はい!金井くん。体育のことは、体育の先生にお願いしたほうが早いです」
「…確かに」
花田さんは率直だ。
「なので、山田先生お願いします」
「え…はい」
チャイムが鳴った。
「山田先生、連絡事項とかは?」
花田さんはぐいぐい行くなぁ。
「特にはないです…」
先生は教室を出て行った。
「春〜!すごいなぁ!言ってくれたらよかったのに!」
辰巳がわざわざ教卓までやってきた。
「いや…」
「金井!なんでも言ってくれよ」
「話してくれてありがとう!」
他のクラスメイトも和やかに話しかけてきた。はぁーよかった。伝わった。ちゃんと言えた。
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