第16話

屋上から出ると、冬と彼女の尚巳が抱き合っていた。というか、冬から抱きついてる。

隙あらば抱きつくのか。気にしないで教室に戻る。


「なぁ、金井かねいと尚巳知らないか?」


教室に入った瞬間、クラスメイトに聞かれる。


「は?なんで」


「なんかー金井が尚巳と私らが話してるのに、無理やり連れ出してさー」


女子は不服そうだ。


「ふーん、知らない」


「冬って、前見たことあるけど尚巳とキスとかしてた!」

「まじすげーな」


「てゆーか尚巳かわいいから、あんなやつ釣り合わなくない?」

「金井はガリ勉なだけでしょ?」

「あと貧弱」


女子はなにを言ってんだか。呆れる。


「なに?なんの話?冬がなんだって?」


秋が外から戻ってきた。いつも昼休みは、校庭か体育館で遊ぶアクティブな秋。


「そうか、秋は金井と兄弟だもんな!秋、冬は尚巳とどっか消えたぞ?お前どこ行ったか知らないのか?」


「知らないけど、デートでしょ?なんなの?」


秋は少し怒ってるような。


「釣り合わないってなに?冬のことだよね?」


「ち、違うよ秋くん!」

「こっちの話だよね」


女子は嘘つきだ。


「そう?」


秋は冬のことバカにすると、キレるだろうな。みんな感じ取ったようでよろしい。同じクラスに彼女がいる冬は羨ましいが、やりにくさもあるだろうな…。

特に尚巳は美人で有名だから。

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